官公庁仕事始めの4日、国定勇人三条市長は午前9時から市役所で年頭のあいさつを行った。2012年は7.29水害と3.11の大震災からの脱却、復旧復興の局面の年と位置づけ、三条市出身の漢学者、諸橋轍次博士が座右の銘とした「行不由径」を掲げ、「積極、果敢に行くに径(こみち)に由(よ)らずで三条市を大いに盛り立てていきたい」と新たな年のスタートを切った。
職員約150人を前にあいさつした。国定市長は、「私たち三条市にとって平成24年、2012年という年は2つの局面があると思っている」と、7月29日の豪雨災害と3月11日の東日本大震災と、昨年の大きな災害それぞれからの脱却、復旧復興と話した。
ひとつは「7.29水害からの脱却、復旧復興がいの一番」。河川改修などは5年スパンの長期戦になっていくと思うが、平成24年であるていどの全体像を見極め、見通し、市民に伝える重要な年になる。
1カ月、2カ月という言葉を安易に使うかもしれないが、被災した人たちには7月29日から1日1日が大変な日々であり、その立場に立てば「私たちは一日も早くまず道筋をつけることをまず第一に考え、道筋をつけたものにはしっかりと被災された方々にお示しをし、お示しをした以上は、それに向かって着実に実践活動を続けていくことが、私たちの町にとってのことし一番の課題」とした。
2つ目は「3.11からの国を超えての脱却復旧復興」。三条はものづくりの町であり、ものづくりを通じた復旧復興支援も大切で、単に3月11日以前に戻すのではなく、それ以上のものを作りあげることで、「3月11日に亡くなられた多くの皆さまの尊い御霊に報いるためにも、そうした思いをもちながら一歩でも二歩でも3月11日より前より、さらに力強いまちになったな、力強い国になったなと目指して行かなくてはならない」とより高い目標を掲げた。
昨年12月の日銀新潟支店長の講演では、「少なくとも国内経済、復旧復興は経済的な観点から見てもプラスになる」と断言していたことにふれた。ことしは経済的活動だけでなく、社会的にも精神的にも決して悲観するべきではなく、「ことしこそは3月11日の状態にまず戻し、そしてできうればそれを上回る、乗り越えるための道筋をつけていくという意味では、非常に果敢に、積極的に、前向きに取り組むことができる大事な年と思っている」と述べ、すべての部局、三条市全体にもそれを求めた。
行政サイクルは市長の任期と連動しているという認識を示し、ことしはPDC(Plan-Do-Check)サイクルでいう「Do(実行)」の年。「通常の年以上に積極、果敢に挑戦していくことを強く求めていきたい」と職員の気を引き締める一方、「ただし、やみくもにではなく、その中にひとつ道しるべ、志、方向感を大切にしていかなければならない」と述べ、三条市の誇るべき人材で名誉市民の諸橋轍次博士が常に抱いていた言葉「行不由径(ゆくにこみちによらず)」を示した。
「積極、果敢に挑戦をしていくときには、下手な小細工をするのではなく、王道、しっかりとした目的を見極めて、それに向かって一歩一歩、着実に正々堂々と正面を向いて進んでいくことが求められる」、「積極、果敢に、ゆくにこみちに寄らずで、この1年間、皆さんと一緒にこの三条市を大いに盛り立てていきたいと思っています」。
1年間を走り抜くのに大切なのは体。健康に留意して1月4日からフル稼働で最後の12月31日まで「頑張りましょう!」と力強く述べて締めくくった。あいさつの長さは例年の約2倍、8分余りに及び、自身の思いを詰め込んで職員に託した。