三条市月岡1、菓子工房クリュはこのほど、数日間限定で、地元の三条市立月岡小学校の児童とともに企画した三条の情報が盛りだくさんのケーキを販売した。
ケーキは、三条のいいところとして児童が考えた凧、釘、月、米、鬼の5つを表現した5種類。
六角巻凧をクッキーにしてのせた「柚子と苺のムース」、和釘の形のチョコレートをトッピングした「和釘のチョコケーキ」、校名や地名の月岡の「月」と槻の森」をかけた「槻のムース」、新潟のコメをたくさん食べてほしいと米粉を使い、さらに白いクリームで雪を表した「雪だるまと米粉のシフォンケーキ」、本成寺の鬼踊りをイメージし、5色の鬼たちを赤いイチゴや緑のキーウイなどで表現した「鬼の5色ケーキ」。
いずれも、三条を発信する行事や産業などのキーワードを的確にとらえながら、かわいらしい形やたくさんのアイデアや思いが詰まったケーキ。1個340円で21日に発売し、数日間、同店に並んだ。予想以上の売れ行きで用意していた材料などがなくなり、発売から数日で予定数量の販売を完了した。
それぞれのケーキは、三条について学習し、さまざまな思いを込めた児童がアイデアを出し合ったものだった。同店では販売期間中は、児童が描いたケーキのイラストや「ケーキの秘密」も掲示した。
「鬼の5色のケーキ」では、立春の一大行事・本成寺の鬼踊りの鬼をそれぞれ果物などで表現したことに加え、「月岡小の子どもたちが健康になり、悪い心をもたず、人を信じられる子どもに育つように願ってこのケーキを作りました」との願いを込めていることなども書いていた。
このケーキ作りは、月岡小学校の6年生が「三条に生きる私たち〜今 私にできること〜」のテーマで約1年をかけて取り組んでいる総合的な学習の一環。ケーキの企画のほか、学区内のラーメン店の協力を得たカレーラーメンの取り組み、東日本大震災の関係で三条市に避難している人たちとの交流の3つから、児童たちは1つを選んで参加している。
ケーキの企画には児童約20人が参加。学区内の洋菓子店、菓子工房クリュとのコラボレーションで、児童たちは三条のことなどを学びながらテーマに沿って、店舗で販売することのできる商品としてのケーキを企画し、同店が児童の思いを形にして製造し、販売した。
同店の店長、栗林茜さん(32)が、授業に参加するなど何度も学校へ足を運び、児童たちへの講話をはじめ、児童の企画を現実の商品にするためのアドバイスを繰り返した。
栗林さんは、ケーキ作りのことや旬の素材のこと、さらに自身のケーキへの思い、「ケーキ屋さんになりたかった」という小さいころからの夢をかなえられたことなどを話し、ケーキを通じて「夢は思うこと、貫くことで形になる」ことを伝えたかったと言う。
栗林さん自身、今回の企画で「どうしたらいいのか」と苦労し、本気で悩んだ部分もあった。春から児童や先生との交流やスタッフに支えられ、たくさんの人たちとのかかわりで乗り越え、「本当にプラスになり、大きな力になった」。
ケーキには作り手の思いが表れると栗林さんは言う。今回のケーキは、栗林さんや同店のスタッフのほかに、たくさんの児童の思いも詰まったケーキだった。