燕市分水地区・国上山の深い谷を東西にまたぎ、朝日山展望台と五合庵を結ぶ千眼堂(せんがんどう)吊り橋で9日、この冬2回目の雪下ろしが行われた。
千眼堂吊り橋は旧分水町が1991年に歩道橋として建設した。千眼堂谷に架かるのがその名の由来で、国上寺、五合庵、朝日山展望台を結ぶ遊歩道ルートが整備されて観光資源ともなっている。
橋長124メートル、幅員1.5メートル、谷底までの高さは約35メートル。両端に立つ朱色の主塔の間を結ぶケーブルがカーブを描き、今はモノトーンの雪景色にひときわ鮮やかに映えるが、その一方で問題になるのが橋に積もった雪の重さだ。
雪荷重は全構造に対して1平方メートル当たり150キロ。水に換算すると15センチたまったときの重さに当たる。それから推測して橋に1メートル前後の雪が積もったら吊り橋を管理する産業振興課の職員が手作業で雪下ろしを行っている。
大雪だった昨冬も2回、雪下ろししているが、この冬も1月30日に続いて2回目。職員7人が午前9時半から2時間がかりで朝日山展望台がら五合庵に向かってシャベルで雪を掘っては谷底へ落とした。
この日、午前9時の分水地区の積雪は63センチだったが、吊り橋の上は10日前に雪下ろししたにもかかわらず、すでに積雪は1メートル近くに達していた。橋の上は地熱がないので雪が溶けにくく、地面よりも多く積もる。
作業を困難にしているのは手すりの存在。「ザッ、ザッ、ザッ」と雪にスコップを突き刺して雪をさいころ状にしてスコップに載せて落とすが、手すりが高さ1.2メートルほどあり、その上まで雪を持ち上げて落とさなければならず、腰に大きな負担がかかる。
作業中も時折、容赦なく激しい雪が降った。雪のいちばん下は数センチの圧雪やほとんど氷りになった部分が多く、シャベルでは歯が立たず「つるはしじゃないと無理だね」とあきらめた。作業が終わるころには顔を赤くして汗をかき、「あしたは筋肉痛だね」とぐったりで、ろくに眼下の雪景色を楽しむ余裕もなく、せめてこの冬の雪下ろしをこれを最後にと願っていた。