国の登録有形文化財への登録を目指して改修工事が行われている通称「水道の塔」、旧配水塔=水道町1=で、3月15日の完工を前に週明けの2月27日から足場の撤去が始まり、きれいに化粧直しされた水道の塔がベールを脱ぎ、新たな息吹を始めた。
老朽化に伴う改修工事で、地震で倒れないようにするための地盤改良をはじめ、外壁の補修や建設当初のデザインの復元も行っている。
足場の設置に比べて撤去は早い。撤去が始まって2日目の28日には上から4分の1ほどが撤去され、3日目の29日には半分ほどが撤去され、みるみる進んでいる。修復によって経年変化が生み出した重厚感が損なわれるかと思われたが、無用の心配だったようだ。
外壁はいわゆるコンクリートようなグレーだが、以前より明るくなった。建設当時に近い色に戻ったと思われるが、やすっぽく見えるようなことはなく、シャープになった印象で、造形や細部の構造も今までよりはっきり見えるようになった。レトロフューチャー的な印象もある。
いくつかある小さな窓は、窓枠の色が失われていたが、内装の部材に緑が使われていることから推測して緑に。これも新しい外壁にしっくりマッチ。一言で言えば「かっこいい」。
外壁の色をはじめ復元の方針は、基本的に長岡造形大学の平山育男教授の指示に従った。平山教授は配水塔の研究では国内の第一人者であり、修復にあたってはこれ以上はない最適なアドバイザー。単なる修復にとどまらず水道の塔の魅力をアップする改修となっているようで、完工が待ち遠しい。
4月14日には燕市総合文化センターで旧配水塔改修記念式典とミニコンサートが行われる。ミニコンサートで演奏するのは、水道の塔が建つ水道町に生まれ育ったフルーティスト、本宮宏美さん(27)。昨年暮れに発売した初アルバムのタイトル曲は『息吹』と、水道の塔に新たな生命を吹き込むこけらおとしのイベントにふさわしいアーティストだ。