3月3日は桃の節句、ひな祭り。それにあわせて三条市中央公民館=三条市元町=わきの道路の除雪でできた雪の壁にろうそくのあかりをともした雪灯ろうがお目見えし、大雪も一段落した今、通りかかる市民のい心を和ませている。
ろうそくがともるのは、三条小学校側の市道。道路の公民館側に除雪車が積み上げた高さ1メートル近いの雪の壁が残る。そこにネコが丸くなれるほどの横穴24個を延長約60メートルにわたって堀り、中ににろうそくをともす。
穴の中にはおひな様のイラストと深紅のユキツバキが一輪。ろうそくの揺らぐあかりに照らされた通路が闇夜に浮かび上がるようすは幻想的で、穴をのぞくと思わず笑みがこぼれる心温まる演出がにくい。通りかかった人は「うひゃ〜、かわいいね〜、おひなさまだ」と苦しめられた雪を今度は楽しんでいる。
仕掛けたのはこの道路沿いにあるラーメン店「龍昇園」の主人、刈屋栄二さん。まちづくりなどに関連したさまざまなイベントにかかわっている。
近年にない豪雪に加え、この冬は店の前の消雪パイプが故障で動かず、代わりに除雪車が通って店の向かい、公民館の敷地に沿って雪の壁を残した。刈屋さんも連日、店の前の雪かきに追われた。「このていどの雪は驚くに値しない、いつかは逆手にとってやれと思っていた」と雪の壁を燭台(しょくだい)にするアイデアを思いついた。
2月末からろうそくをともす作業を始めると、いつの間にか近所の人も参加。当初は同店前付近だけの予定だったが、約60メートルもの長さに延び、隣り近所の小さなコミュニティーの連鎖がまさに目に見える形になって現れた。本番の3日は午後7時ころから点灯する。