東日本大震災に伴う原子力発電所事故の影響で三条市での避難生活を余儀なくされている佐竹紀さん(72)=福島県南相馬市小高区=らは、4日から16日まで三条市総合福祉センターで「春を待つ…小さな 小さな 手づくり写真展」を開いており、三条市に避難所が開設された昨年3月16日からの1年を写真400枚余りでつづっている。
写真は昨年春から夏、秋、冬と23枚の台紙に張り付けて総合福祉センターのロビーに展示。避難している人たちと同じ目線で佐竹さんが撮影した写真を中心に、小学校や市などから提供された写真もあわせて展示している。
市内に最大で4つ開設された避難所での生活の様子、三条市での花見、子どもたちの進級・卒業祝い、三条祭り、凧合戦、三条夏まつりなど三条市の行事への参加、芋煮会、クリスマス、正月とさまざまな出来事の記録が並ぶ。
展示した写真であらためて1年を振り返って「まずはありがとうという思いを伝えたい」と佐竹さん。「安全安心とさかんに言うが、われわれがほしかったのは安らぎだったんだなあと感じる」と言う。
「この1年を長かったか、短かったかと聞かれるが、長かったとは感じないが、おちびちゃんたちが小学校に入ったり、卒業だったり」と、目に見える子どもたちの成長に気付くと確実に流れる時間の長さを感じる。
写真展は「自分たちの足で立ち上がる第一歩」であり、「避難者を卒業したいんだ」との思いもある。佐竹さん自身も「ようやく区切りがついていてきた。三条市にいる間は何かお役にたつことがしたい」と話しており、三条市民をはじめ、大勢の人に見に来てほしいと見学を呼びかけている。