三条市議会3月定例会の市政に対する一般質問初日の7日、国定勇人市長は東日本大震災のがれきの受け入れについての質問に答えた。国定市長は、昨年11月から新潟市などとともに前向きな検討を続けており、さらに踏み込んで放射性セシウム濃度が1kg当たり100ベクレル以下を受け入れのひとつの判断基準に検討していると明かす一方、国に対しては災害廃棄物に対する誤った放射線汚染の懸念を払拭するために「国民の納得を得られる十分な説明責任を果たしていない」と指摘した
昨年11月の記者会見で、東日本大震災で被災した宮城県と岩手県の災害ごみついての受け入れを、他市とともに前向きな検討を進めていると話している国定市長に、同定例会では5人の市議が質問を通告しており、一般質問初日のこの日は、早急ながれき受け入れを求める立場をとる名古屋豊市議の質問に答えた。
国定市長は、災害廃棄物の受け入れについて、昨年11月から県内5市で検討を重ね、新潟、長岡、柏崎、三条の4市で「おおむねの合意形成ができる段階まで近づいているものと認識」と、現状を話した。
受け入れるがれきは、放射性セシウム濃度が1kg当たり100ベクレル以下をひとつの判断基準に検討している。これは国際ルールの基準となるIAEA(国際原子力機関)が放射性物質として扱う必要がないとする区分の「クリアランスレベル」であり、日本の法規制上も同様。厚生労働省が安全とする焼却灰の放射性濃度8,000ベクレル/kgも大幅に下回る。
泉田裕彦県知事は、通常法制の100ベクレル/kgをこの震災での適用基準8,000ベクレル/kgとしていることをダブルスタンダードと指摘しているが、100ベクレル/kg以下のがれきなら問題ない。今の三条市の清掃センターでも80ベクレル/kgあり、「一般の廃棄物と何ら変わらない数字として市民の皆さま方からも十分理解いただける数値ではないかと考えている」と話した。
受け入れを検討する自治体が激減した理由について考えを求められると、「災害廃棄物に対する誤った放射線汚染の懸念が要因であり、その懸念を払拭するべき責任を負う国が国民の納得を得られる十分な説明責任を果たしていない」と指摘。「そのことが被災地の復興を妨げていることは大変遺憾に感じている」とした。
受け入れ反対の動きがあるなかで昨年、いち早くを受け入れに手を上げたのは、三条市は2004年の7・13水害で発生した災害廃棄物の3分の2を山形県内にある最終処分場に埋め立て処理をしてもらった経緯がある。また、それらを踏まえた新ごみ処理施設は、三条市の施設規模に10トンの広域災害廃棄物の受け入れを想定した余裕率を確保して建設している。
昨年の7・29豪雨災害でも再び三条市が甚大な被害を受け、全国から温かい支援を受けて災害復旧に取り組むなかで、「被害を受けた自治体が基本的には協力していくことが当然のことと考えている」。
こうした経緯を踏まえて昨年、受け入れ検討を表明したが、リスクのない100ベクレル/kg以下の基準は「一般廃棄物と同等程度のものと考えることができる」と繰り返し、4市で受け入れに合意できればこの数値を基に次のステップに進んでいきたいとした。
受け入れの正式表明という状態になれば、議会には現地視察の機会を設け、必要に応じて説明し、理解を得ていきたいとし、「早い段階での受け入れというステップに進んでいきたい」と前向きな考えを示した。
3月定例会の一般質問は、7、8、9、12の4日間の予定で、17人の市議が質問する。三条市では、本会議のインターネット中継を行っており、自宅にいながらパソコンで本会議を見ることができる。
また、国定市長は「正確性を期すため」と自身のブログ「三条市長日記」に答弁要旨を掲載。名古屋市議もブログ「なご☆ログ」で一般質問について掲載し、がれき受け入れが「『早くとも秋ごろ』というのには少々不満」と一刻も早い受け入れを期待しつつも、「この広域連携での受入れが全国の先例となることも期待」している。