三条市上野原、中小企業大学校三条校の看板コース「経営管理者養成コース」の受講生でつくる「会縁会(ええんかい)」は10日、同校で第10回経営管理者養成コース全体OB会を開き、総会と第1期OBの(株)諏訪田製作所=三条市高安寺=の小林知行社長を講師に特別研修を行った。
本県と長野県を中心に43人が出席。午後1時半に開会し、総会では加藤将利代表幹事のあいさつ、平成22年度の会計報告、次期代表幹事と会計幹事を選任。代表幹事に(株)梨本商店の梨本次郎社長、会計幹事に三陸運送(株)の皆川左千夫企画部長を決めた。
特別研修会では、同経営管理者養成コース第1期の修了生でもある小林知行さんが講師となって講演。小林さんは、第1期修了から10年が過ぎたなかでのさまざまな変化に、「その厳しい世の中に生きているんだ」と始めた。「三条市内の鍛冶屋の仕事をやっていますが、わたしで三代目」と、大正15年の祖父の創業から会社組織への変革など同社の歴史や製品づくりなどの紹介、労務や営業戦略などについて話した。
同社の爪切りの製造工程の話では、真っ赤に灼熱させた材料に400トンのプレスをかける鍛造の工程から行っていると言い、「わたしたち鍛冶屋がここでほしいのは、爪切りとしての形ではなく、刃物としての材料がほしい」、「鍛えた材料で作るからよい刃物ができる、鍛冶屋ならだれでも知っている」と、さまざまな地域や職業の会員が集う同会で、だれにでもわかりやすく説明。
「長さ12センチのところに400トンの力でたたきます。そうすると組織がぜんぜん別な物になっていく」、「400トンというと普通乗用車300台くらいが一気にここにかかる」と、素材の変化やその工程を解説。「(鋏の片方にかかった力が400トンとすると)つまり、うちの爪切りは左右合わせれば800トンかかっている。長さ120ミリのところにパワーが秘められている」。
「刃物はよく切れるのが第一だが、長く切れなくてはいけない。直せなくてはいけない」、「刃物は連続して使う道具、サステイナブルでなければいけない」と述べ、そのために材料づくりから行い、さらに職人の繊細な手作業を重ねて完成すると「本物」を作る同社のモノづくりについて話した。続いて、労務戦略や営業戦略について話し、1時間20分の講演を行った。
同研修会では、このあと、昨年11月にオープンした諏訪田製作所のオープンファクトリーを見学した。