月刊の三条中心市街地エリア情報紙「まんなか」に「取材日記」を掲載するため、「まちなか応援サポーター」として中心市街地の店舗を取材、連載している県立三条商業高校の商業クラブ。12日は3月下旬発行の第11号への寄稿に向けて2店舗を取材した。
「記者」はメンバーを入れ替えて担当しており、今回は商業クラブの生徒9人のうち、2年生の多田真美さん=見附市=、鈴木麻奈美さん=同=、石原知佳さん=加茂市=の3人。顧問の新井勝博教諭の引率で午後4時から東三条商店街の「山重酒店」(白椿重弘店主・東三条2)、続いて一ノ木戸商店街の手芸・クラフト「サカツ」(佐藤勝昭社長・林町1)を取材した。
山重酒店で3人を歓喜させたのがスイーツの試食だ。同店では、7、8年前から酒販店を中心にフランチャイズ展開する「彩豆堂」のコーナーを設けている。素材や製法にこだわった豆腐などダイズを素材にした加工食品をラインナップしており、同店のほかに市内で扱っているのは1店舗だけとあって、彩豆堂の無調整豆乳などを買うために同店を訪れる常連客もある。
酒店なので基本的にあまり縁がないと思っていた生徒は、「どれが食べたい?」と白椿店主に聞かれてびっくり。やわらか杏仁豆腐、王様マンゴープリン、黒ごまプリンなどが次々と皿に並び、目を大きくして「いっただきまーす!」。「めっちゃごまの味がしっかりしてる!」、「テスト前に食べたいよね!」と店内に生徒の歓声が響いた。
「デザートとしても絶対、売れますよ!」、「勉強に疲れたときにもいいですよ!」との提案も。それでも時々、話を元に戻して取材してメモしたり、新井教諭に写真を撮ってもらったり。食い気を存分に満たして次の店へ向かった。
「サカツ」は大正時代の創業で、昔ながらの手芸用品店。「お客さんは商店街の人たちが多いですか?」の生徒の質問に佐藤社長は、「こういう店が最近少なくなって」燕市や見附市、長岡市からの客も多いと話した。「何がいちばん売れますか!」には「冬場は毛糸ですね」。ぎっしりと棚に並んだ糸の種類の多さに「こんなにいっぱいあっても足りないことあるんですか?」と驚いていた。
手の込んだ手芸作品には、「すごい、感動って感じですよね」。昔は彼氏にマフラーを編んであげたというエピソードに生徒は「今は時間がなくて」。佐藤さんも「マフラーは重たいと思われるんでしょうか」と笑った。
生徒3人は取材の成果に大満足。3人とも市外から通う高校生なので三条市内の商店街に関する情報はほとんどなく、ましてや酒店がスイーツを売っているとは考えたこともなく、「高一のときに知りたかった!」と知らずに過ごした2年間を悔やむほど目から鱗の取材だった。
三条中心市街地エリア情報紙「まんなか」は昨年5月に創刊し、毎月1万部を発行して商店街の店舗などで無料配布しているフリーペーパー。B4判の三つ折りで毎回、中心市街地の店舗紹介を掲載しており、「三条商業高校『商業クラブ』取材」は昨年5月からの連載。高校生の視点で店舗を取材し、紹介している。
商業クラブは2006年にオリジナルパンを開発して三条市内でチャレンジショップで「いかぱんや」を開き、販売したのがスタート。新潟国体の開会式に出店したり、最近は中心市街地活性化イベント「三条マルシェ」に出店したり、毎年イベントで佐渡航路のフェリーのなかで販売したりと活発な活動を続ける。
新井教諭は「高校生のパワーは無限だと思っていて、いろんなことをやっていきたい」と言う。自身は進路指導部でもあり、就職活動にも手応えを感じている。