国定勇人三条市長は13日行った定例記者会見で、4月から給食用食材の放射性物質を県が用意した検査機器ではなく、民間検査機関に依頼してより精度の高い機器による検査を行うと発表した。
学校と保育所の給食で使う三条産農産物約30品目を対象に検査するもの。国定市長は県が配備する簡易型の測定器は精度が荒く、まれに高いデータを示す可能性がないとは言えず、逆に風評被害を広げかねないため、精度の高いゲルマニウム半導体検出器による検査を民間検査機関に依頼することにした。
さらに質問に答えて「本当に大丈夫なものは大丈夫、そうでないものはそうでないものだということを、あるていど精度高くお示しをしていくことが、わたしの目線から見るところのまさに真に市民の皆さま方にご安心をいただくための措置」で、「県さんから積極的な働きかけをいただきましたけれども、三条市としてはそれはできませんということ」と話した。
県は県内7カ所に簡易型の測定機器を配備し、持ち込まれる食品を検査している。学校給食の放射性物質検査を県の検査機器を使わずに独自で行うとしているのは、今のところはほかに新潟市くらいのようだ。
ほかの質問は国定市長が早くから検討してきた震災がれきの受け入れに集中。国定市長は、受け入れは最終的な合意形成に至ってないが、三条市は新潟市、長岡市、柏崎市、新発田市と5市で岩手県と宮城県のがれき受け入れを準備しているが、「市民の皆さま方の安全安心を確保するという前提があって成り立つ」。
受け入れるがれきは放射性セシウム濃度を100Bq(ベクレル)/kg以下を掲げ、「この数値のなかで合意がなされていく」という見通しを示した。
健康被害はベクレルよりもシーベルト換算が必要で、100Bq/kgは0.01mSv(ミリシーベルト)/年に当たり、これは自然に受ける放射線量1.48mSv/年と比べて「いかに安全サイドに立っている数値かっていうことはご認識いただけるのでは」とした。
三条市の新しいごみ焼却施設は、三条市民から排出されるごみ以外に万が一のために受け入れられるごみが1日当たり最大で10トン。毎日10トンを直ちに受け入れるのではなく、試験焼却を行ってしっかり安全生を確認する。
安全サイドに立った基準値なので一般の廃棄物と一緒に混焼するが、市民が不安をもたないよう学習会のようなものを設定する。
新しいごみ焼却施設は7月の運用開始だが、すでに火入れ式を終わって事実上、運用可能状態にあり、ほかの4市と合意できればそれまでの間に試験焼却の準備を進める。それぞれの市の立場があるので、受け入れの足並みをそろえることは考えていない。
100Bq/kgの基準は、焼却灰か、それとも焼却前のごみの数値かとの質問に国定市長は、焼却前の数値。焼却の方式の違いもあり、新しいごみ焼却施設は16倍に濃縮され、現在の三条市の焼却炉は33倍に濃縮される。先に岩手県山田町のがれきを試験焼却した静岡県島田市は三条市とほぼ同じ方式の施設で、一般の廃棄物にがれきを15%含めて混焼するため、焼却灰の濃度は64Bq/kgにとどまり、100Bq/kg以下に収まっている。
昨秋できたがれきの処理に関する法律では、受け入れるごみは8,000Bq/kg以下としているので、それより安全サイドに少し寄った数値が政府から出されると予想してるいるが、「5市の間で共通認識を得つつある100Bq/kgをあくまで尊重していきたい」。
環境整備の意味では「今まで何もしてこなかった国の方がむしろおかしい」、3月11日の追悼式典後の野田総理の会見を評価し、国が一定の法規制の枠で支援を要請するのは「弾みがつくこと」になり、通達を受ける都道府県にとっては「追い風になる」。
国の示される基準が100Bq/kgを下回るとは考えられず、「わたしたちの物の言い方としては」、国が示したよりもさらに低い基準ということで、「ますます住民から理解いただける環境が整う」。また、がれきの処理に関する法律は強制力は弱く、基準値以下なら一般的な廃措法で取り扱うため、国から指導を受ける環境にはならず、「あまり心配していない」。
野田首相は国全体の方向感を示したので、「知事におかれてもそうした空気感を十分に感じとっていただいているものと思う」と期待し、現行法ではごみの受け入れは市町村事務なので「県にはサポートをいただく役割であって、県がイエスとかノーとか判断すべき立場ではないわけですから、支えていただければありがたいと思いますし、そうでなければ我々は粛々と進めていく」と市が主体であるという立場を明確にした。
法律上、県が広域処理に許容できるような構成になっており、これまでは運用上、県がマッチングする慣例ができていたが、県と対立しているわけではなく、県がマッチングに協力してくれるなら「大いにウエルカム」だし、万が一、「県が知らないよ、あなたたち勝手にやりなさいよということになったとしても乗り越えられない壁ではない」、そのときは5市が連携して「自らマッチングの部分も担っていきたい」。
がれき受け入れに関して市民から反対の声はほとんどなく、あってもそのほとんどは市外から。昨年11月に受け入れの是非の検討を始めると表明したときの方が多かった。市内から反対の声が上がらないのは「冷静に受け止めていただいてる」。逆になぜ受け入れのスピードがこんなに遅いのかという声が多いとした。会見で発表した10項目は次の通り。