「春分の日」の20日、三条市は午後1時から燕三条地場産業振興センターで平成23年度三条市成人式を行い、新成人853人が出席してはたちの門出を祝った。
昨年は東日本大震災発生で7月18日「海の日」に延期しており、ことしは2年ぶりに例年通り「春分の日」の開催。対象者1,048人のうち、男439、女414の計853人が出席。出席率は例年並みの81.3%だったが、延期した昨年の60.6%を20ポイント余りも上回った。
式辞で国定勇人市長は、自身も「たかだか皆さんからわずか2倍のことしで40歳になる身」だが、3.11以前の39年間の経験は「赤子のようで実に経験値の低いものだというふうに痛感した」と話した。東日本大震災を目の当たりにし、原発事故が深刻化して国の行く末を憂え、思い悩むなかで「人と人との絆の大切さ」を「赤子が経験を重ねるように私自身も経験」した。
このことは新成人も同じはずで、「私と皆さんは今、まったく同じステージに立っている」。今なお出口を見い出せないが、ひとつだけ確信をもっているのは、「国民一人ひとりが、ひとり残らず本当にこの国難に対してしっかりと向き合い、一人ひとりがしっかりと心掛けをしていくなかで、歩みを進めていかなければ我が国の将来というものは決して成り立たないということ」。
新成人に被災地に入ることを勧め、「国難とも言うべき経験をぜひとも目の当たりにしてください。そして多くを経験してください」と求めた。40年を生きた自分から見れば、新成人は「20歳という非常に感覚に優れた、いろいろなことをしっかりと味わい、感じ取ることのできるような素晴らしい感受性の持ち主」であり、被災地に入って「この国の発展のために何ができるのかということを一人ひとりが自覚をしていってもらいたい」と願った。
新成人一人ひとりの行動が「三条市を健やかで健全で幸せなまちに発展をしていく、その道しるべになるはず」で、「輝かしいこれから先の将来」を祈念した。
来賓の下村喜作市議会議長の祝辞、成人代表の岸本広樹さん=本成寺中出身=と加藤美香子さん=第三中出身=の2人が「成人のことば」を述べて閉式。
続く式典では液晶テレビやディズニーランド入場券を賞品に「成人祝い抽選会」を行い、国定市長が自らプレゼンターとなって会場を盛り上げた。
明け方は氷点下の気温で昨夜から雪がちらつき、午後1時の三条の気温は4.0度と冬の寒さ。振り袖や紋付きはかま、スーツを着た新成人は駐車場で車を降りると足早に会場内に入っていった。
新成人が持参した木刀、クラッカー、日の丸などは進行の妨げになるおそれがあるため、受け付けで預かって会場内へ持ち込ませたなかった。式典中、羽織はかまの男性のなかで式典の最中に大声を上げることがあった。
昨年は「節電の夏」のなかでの成人式で、延期して出席者が少なかったこともあるのか、近年でもとくに静かな成人式だった。それと比べればことしの成人式は騒がしかったが、この2日前に行われた燕市成人式はさらに騒がしかった。
国定市長は式辞の冒頭、「たかだか3分間ほどのスピーチですから黙って聞いてください」、なお会場が騒がしく、しばらく話してから再び「最後までちゃんと聞いてください」と声を上げる新成人をびしっとたしなめた。
式典後の国定市長は、一部の新成人の態度を気に留めているようすはなかった。自身は千代田区の成人式にフォーマルな羽織はかまを着て出席したが、誰が何を話したかはちっとも覚えていないと言う。
アトラクションが始まると、ステージに駆け上がっていちばん前に立つと新成人に手拍子を求めて、いつも以上にノリノリ。「僕がいちばん楽しませてもらいました!」と会場を後にし、フォーマルな場所ではきっちり、騒いでいい場所では思いっきりはしゃぐという在り方を自身の行動で新成人に示したようった。