つばめ福祉会が運営する「つばめ第2デイサービスセンター」=燕市秋葉町4=は22日、同センターで三条市・月ヶ岡特別支援学校高等部3年生の石月誠人さん(18)によるキーボード演奏と石月さんの音楽仲間の同級生による合唱のコンサートを開き、集まった利用者約30人から音楽を楽しんでもらった。
音楽好きな同級生6人と先生1人の7人で合唱チーム「レインボー7」をつくっている。そのメンバーのうち石月さんとほかに2人の3人に加え、それぞれのお母さんも参加。坂本九の『上を向いて歩こう』やAKB48の『桜の栞』を合唱したあと、石月さんひとりがキーボードでテレビ時代劇「水戸黄門」の主題歌や『ジュピター』、『情熱大陸』などを演奏した。
石月さんはアドリブを加えてどんどん演奏時間が長くなり、母、純子さん(45)も「いつになったら終わるのか心配になりました」と言うほど、ノリノリで演奏。わざとブレークを長くとってその間に顔を上げて利用者の見てにっこり。愛きょうたっぷりのエンターテイナーぶりにさらに盛り上がった。
絶対音感があり、楽譜がなくても耳で聞いた曲をすぐに演奏できる能力をもつ。曲も自分で好きなようにアレンジする。その情熱的な演奏に思わず仕事の手を休めて聴き入り、手拍子をたたく職員も。利用者のお年寄りも足でリズムをとったり、歌詞を見ながら一緒に歌ったりと、会場は一体感に包まれた。演奏が終わると石月さんは立ち上がって「ありがとうございました。どうか、またいつか来るので、よろしくお願いします」と満面の笑顔だった。
つばめ福祉会は2月にも第1デイサービスセンターに石月さんらを招いて演奏会を開いており、今回が2回目の出演依頼。さっそく来月もと出演を頼んでいた。
石月さんは健常者に混じって小6、中3のときに新潟県代表としてカワイ音楽コンクールの北関東大会に出場し、高3のときは敢闘賞を受賞。08年の国際ピアノパラリンピック in 神奈川で練磨賞、09年には国際ピアノフェスティバル in 千葉で芸術賞、国際障害者ピアノフェスティバル in バンクーバーに日本代表で出場、練磨賞を受賞。一方で陸上で全国障害者スポーツ大会に3年連続で出場し、昨年は100メートルで初めて銀メダルを獲得している。
とはいえ、すでに学校の卒業式を終わり、レインボー7の仲間たちとは離ればなれになる。純子さんは、「これからたんたんとした生活になると思いますが、月に一度はレインボー7みんなと集まって学生の気分も大切していきたい」と話す。「こうしたボランティアを通じて少しでも社会に貢献できれば」と喜んだ。