東日本大震災で第70回分水おいらん道中が中止になってから1年。4月15日の本番まで残り3週間余りとなった24日、昨年と同じ4人のおいらん役の記者会見とおいらんの歩き方の練習が行われた。
毎年、燕市・大河津分水のサクラ並木で行われている分水おいらん道中。県外からも大勢の観光客を集めている。その主役となる4人のおいらん役は公募しているが、昨年は東日本大震災で中止しになったため、ことしは昨年のおいらん役をそのままことしのおいらん役にスライドさせた。
おいらん役は信濃太夫に上田智世さん(24)=燕市・会社員=、桜太夫に栗林紗美さん(25)=新潟市・会社員=、分水太夫に大藪さゆりさん(26)=東京都北区・主婦=、染井吉野太夫に谷川愛美さん(31)=東京都世田谷区・主婦=。それぞれ練習用の浴衣を着て出席した。
上田さんは母、佳澄さんもかつておいらんを務めており、分水おいらん道中で初めて親子二代おいらん役に。栗林紗美さんはテレビ新潟のアナウンサーと話題性の高かったおいらんたち。大藪さんはおいらんの大ファンという祖母の願いを託されての出演で、この1年で結婚して姓が変わった。谷川さんは3年前においらんを公募しているのを知り、一昨年は応募できず、昨年は応募。しかし東日本大震災でさらに1年待たされ、3年越しでついに夢をかなえる。
この1年間について上田さんは「おいらん役に決まってからちょっと時間があったので、わたしは母に歩き方を伝授してもらってきました」、栗林さんは体力がないのが“売り”で2年前の体力年齢が70歳くらいだったが、仕事の企画もあって県内を100キロ走ってからおいらん道中に決まり、今は水泳やダイビングに挑戦して「今度は水の方で体力をつけております」。
大藪さんは「非常に長い時間、思いものをつけて歩くということなので、毎日ではないんですけれども、ちょっとウオーキングをしてみたりして体力が低下しないように続けてきました」、谷川さんがスポーツジムに通い始めて体脂肪を10%落とし、今はパーソナルトレーナーについて「バランスボールの上で片足スクワットとかのトレーニングをしているので高下駄の上でも十分に外八文字ができると思っています」。
親子二代のおいらん役となる上田さんは、それが「自分の中ではプレッシャーにもなっている」が、一方で「歩ききることを目標にするのではなくて、やっぱりおいらん役は魅せること、魅了することを目標としてちゃんと歩きなさい」と母に言われ、それを守って見学に来る人を魅了したいと話した。
記者会見後は、ことしも日本舞踊の花柳流・花柳寿之柳さんを指導者においらん道中の行列を先導する手古舞を演じる7人の歩き方のあと、おいらんの歩き方を練習した。高下駄で歩くのも簡単ではなく、まずはほうかんの肩に手をかけて、とにかく背筋を伸ばして歩くだけの練習。慣れてきたところで、下駄で外八文字を描くおいらんの足運びを練習した。
外八文字を描くのは簡単に思えるが、高下駄を寝かせて地面につけたまま滑らせるように足を運ぶには腰を落とす必要があり、さらにその動作をゆっくり行うには想像以上に下半身の筋力が必要。しかも視線は真っ直ぐに前に向けている必要があり、体で動作を覚えるように繰り返し練習していた。このあと練習は4月5日と10日に行い、15日に本番を迎える。