新潟県異業種交流センター(佐藤健之理事長)と燕三条青年会議所(五十嵐利行理事長)は26日午後7時から燕三条地場産業振興センターリサーチコアで人材育成に関する講演会「ディズニーの教え方〜リピーターを生むCS(顧客満足)の考え方と人材教育法を学ぶ〜」を開き、300人を超す来場で熱気あふれる講演となった。
講師は東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドの第1期正社員だった福島文二郎さん。1962年生まれでオリエンタルランドに入社してジャングルクルーズに配属された後、社員教育畑を経て2007年に退社。研修プランニング&インストラクター&コンサルタントとして活躍し、2009年にJSパートナー株式会社を設立、代表に就いた。
福島さんを有名にしたのは2010年に出版され、ベストセラーになった著書『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』。ディズニーの人材育成を通してミッション(理念)やホスピタリティの重要性について話した。
福島さんは、ディズニーランドは一般の企業とは異なるショービジネスだが、「わたしどももまたリピータービジネス」であり、そういう点では重複するところがあり、チームワークがなければ成り立たないビジネスであると話した。
東日本大震災発生時、防災ずきん代わりにと子どもたちにぬいぐるみを配った有名な話や自身が働いていた当時のエピソードを交えた。確かにディズニーランドだからこそという側面もあるが、社員教育に悩んでいる経営者には参考になる内容も多かった。
ディズニーの顧客満足度は、小さな感動をたくさん積み重ねること。口コミは重要で、いい評判は1人が5、6人に話すが、悪い評判は40人から45人に話す。人は一度間違った方向へ行くと元に戻すのは難しいので、場合によってはできるだけ早く注意する。ほめることで信頼関係が生まれれば、しかっても聞いてくれる、それは自分のために言ってくれていると思うから。ディズニーのキャスト(従業員)は自分自身を導いていくリーダーシップをもっている。
福島さんの話はふだん、何気なく思っていることを明確に言葉で表現してくれたり、再確認させてくれたり、ときには一般の会社では考えられない組織に対する忠誠心や耳が痛い話もあり、1時間半の講演はあっと言う間だった。
毎年恒例の講演会で、定員200人で聴講を呼びかけたところ300人以上が来場し、テーブル席を囲むようにいすだけの席を並べてぎりぎりいっぱい。福島さんの著書をバイブルのようにテーブルに置いて聴く人もいた。
なかでも目立ったのが女性の多さ。ディズニー効果なのか、人材育成の講演会にもかかわらず来場者の4分の1を女性が占める異例の女性率の高さだった。ディズニーのキャラクターのあるノートでメモを取る明かなディズニーファンもいて、ディズニーランドの夢を守るための徹底ぶりに聴き入り、「本当にいい講演でした」と関係者に頭を下げて帰る人もいた。
新潟県異業種交流センターの捧厚雄副理事長は、「社会を支えている人の半分は女性ですから、大勢の女性から関心をもってもらえたのはありがたい」と喜んでいた。