三条市は27日午前10時から開かれた市議会全員協議会で、県がまとめた「一級河川信濃川水系五十嵐川河川災害復旧事業」の概要を説明し、笠掘ダムのかさ上げや遊水地の設置、河道改修など、昨年の7.29水害で大きな被害を受けた三条市の五十嵐川と鹿熊川の復旧計画や対策を示した。
まず、この事業の計画がまとめられた経緯を説明した。国や県の協議会で、河川整備は上中下流の水系全体で水害リスクを分かち合うことが再認識され、信濃川本線や五十嵐川の支川の上下流の治水バランスを考慮して検討すべきとの提言を受け、五十嵐川でも技術的な検討がなされた。
事業は信濃川の合流点から笠掘ダム付近の塩野渕まで全長約26.6kmで、事業費は281億9,600万円。それに下田地区で五十嵐川に注ぐ鹿熊川は、延長3.55kmで事業費は17億9,100万円。いずれも今後、調査、設計し、24年度中から着手する工事のスケジュールは平成27年度までを示している。
河道改修は、渡瀬橋から上流で行われる。場所によって堤防のかさ上げ、河道掘削、堤防を引いて川幅を広くする引堤をはじめ、引堤に伴う永田新橋の架け替え、笠掘ダムのかさ上げ、三条市月岡地内の左岸側に遊水地の設置を行う。
今後の調査で変更もあるが、遊水地は三条市斎場に隣接する場所に設置する。現在の河川敷など堤外地約20ヘクタールと一般県道大面保内線までの間の堤内地に約20ヘクタールの計40ヘクタールで、総貯水量は175万立方メートル。大面保内線脇から遊水地を囲み高さ約4.7メートルの堤防が新たに設置され、これまでの堤防の付け替を行う。
笠掘ダムは現在のダムを4メートルかさ上げするが、阿部銀次郎市議は本体の上にかさ上げするだけか、下部からするのか、その方法について質問した。土田壮一建設部長は、笠堀ダムは昭和39年の完成から半世紀近くたっており、コンクリートの強度や地盤を調査し、構造を検討して決定されると答えた。
吉田進一郎市議は、復旧工事の手順を質問した。下流域からが基本と思うが、最上流域では住宅を再建しようか今も迷っている人もいる、さらに事業をやりたいが法線や高さ、工事がいつになるかわからないった人もおり、優先できないものかと述べた。土木課長が答え、県もそういううところは優先して考えるとしていると説明した。このほかにも次々と質問の手があがっていた。
また、国定勇人市長は冒頭のあいさつで、「一日も早くもとの生活を取り戻されることを心から念じてやまない」と述べるとともに、今後、関係する住民への説明会を開いて周知して理解を求めていく考えを示し、市議会には同事業の特別委員会設置の検討も求めた。