17コース20回が設定された「燕三条まちあるき」が23日スタートし、25日は「〜ローカル線に誘われて〜“ふらっと”三条食文化めぐり」のコースが実施され、参加した12人は地元ナビゲーターの案内でふだんは通り過ぎてしまうような燕三条の「日常」を楽しんだ。
春と秋に行っている「燕三条まちあるき」の人気コースのひとつで、燕三条駅から北三条駅までのJR弥彦線乗車も加えたリニューアル版。事前に申し込んだ三条、燕、新潟、長岡からの参加者のほか、弥彦に宿泊しようとJR燕三条駅を降りた神奈川県から訪れた夫婦も「燕三条まちあるき」のパンフレットを見つけて急きょ参加した。
ナビゲーターは、市民団体にいがた映画塾事務局長も務め、今回のコースが地元の巻寿司製造業の(有)大橋屋=三条市本町6=の大橋健一さん。午前10時過ぎに燕三条駅に集合し、北三条駅までの5分弱を弥彦線の電車に乗り、ノスタルジックな雰囲気を味わうところから始まった。
古い街並みの残る旧古城町(こじょうまち)・鍛冶町(かじまち)エリア内の三条鍛冶道場を通り、川瀬製麩店、かじまちの家、大橋寿司店、与謝野晶子歌碑、八幡宮、牧野修三菓子店、味方屋などを巡り、建物や小路の歴史やいわれなども聞きながら、麩や巻寿司、カレーラーメンなど三条の食文化も堪能した。
三条名物の車麩(くるまふ)を製造する川瀬製麩店では、18歳から50年間、麩を作る2代目の川瀬国雄さん(68)が、麩の歴史や車麩の製造工程を説明した。
作業中は手を休めることはできないので休日の見学だが、香ばしい麩を焼いたときの香りがする作業場で、約2メートルの金属の棒に麩の生地を巻いて焼く作業を4回繰り返すなど、昔ながらの手作りの作業方法を聞いたり、2階の乾燥室で乾燥中の無数の車麩を見たり。ふだん目にすることのできない機会を楽しんだ。
かじまちの家では、麩の煮つけの試食をしながら自己紹介も行い、カレーラーメンを食べに来て「まちあるき」を知った人、車で通ることはあってもじっくりと歩く機会がなかったのでと参加した夫婦、前回も参加してナビゲーターの大橋さんのファンになったというリピーターなど、和やかに参加した動機などを話した。
雨があられに変わるなどあいにくの寒波だったが、ナビゲーターや行く先々でふれあう町の人、参加者同士の会話も弾んだ。参加者のなかには、「ふつう旅行にいっても、こんなに親しく話せない」と、町のことを知ることはもちろんだが、人とのかかわりも大きな魅力となって、「日常のなかの非日常体験」をたっぷりと楽しんだ。
今季の燕三条まちあるきは、5月27日までに20回開催されるが、すでにいくつかのコースは定員に達し、キャンセル待ちが出ている人気だ。