燕商工会議所(山崎悦次会頭)は28日、燕版ISOともいえる世界でも初めての地域独自の品質管理簡易認証制度「TSO(Tsubame Standard Organization)」の第1回認証企業審査会を開き、認証審査を受けた12社すべてを認証した。
TSO認証制度は、品質管理の国際規格「ISO9001」のなかでもとくに重要な要求事項を抜粋したもので燕商議所工業部会が中心となって昨年夏にスタート。ISO9001を取得していないために大企業と取り引きできない場合もあるが、中小企業のには数百万円ともいわれるISO9001の取得費用や労力の負担が大きいため、数十万円で取得できる簡易認証を定めた。
この日は12社からの審査申し込みを9人のTSO認証審査委員が審査し、12社すべてを認証し、記者会見で発表、審査のようすなどを話した。
今回の認証審査に向けて1日1万円の勉強会に60人以上が参加し、実際にコンサルに入ったのは14社、最終的に12社が審査まで進んだ。目標にした40社の審査申し込みには及ばなかったが、次年度は5月から説明会を開き、再び40社の認証を目指す。来年2月の横浜市での展示会への出展も考えている。
TSOが認められるには、まずはTSO基準が評価される必要があるが、ISOにもない認証を取得して3カ月後に第1回調査、半年後に第2回調査を行うなど、ISO9001より厳しい基準もある。ISOのような知名度はないが、ISOを要求する人がTSOの品質マニュアルを見ればきちんとしたものであることがわかり、マニュアルを引っさげて展示会に出たいとも。今後も品質管理を職人に根付かせることとISO取得率の向上につながることにも期待する。
審査委員長の新潟大学産学地域連携推進機構の小浦方格准教授は、報告書にある通りにシャンシャンで終わるのかとも思ったが「非常に中身の濃い議論になった」、TSOを立ち上げた関係者の「熱い思いをくんでの認証結果」と評価。
ただ、認証した12社のうち2社は認証を与えるのが難しく、「最終的に条件付きで認証」とし、成長に期待し、見守っていくことにした。認証した12社を「手本にし、燕全体で発展をしていくような動きとなっていけば非常に喜ばしい」と地元企業の品質管理の底上げにも期待した。
認証を受けた企業の担当者は、「社員からの提案などすでに変化が現れている」、「今でやってきたことの明文化、再現性のある形にしていく作業」、「TSOの名に恥じないように今後とも頑張っていきたい」などと話していた。TSO認証を取得した12社は次の通り。
企業名 | 本社所在地 | 業種 |
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株式会社イケダ | 燕市小関1311番地 | 金属製品の製造 |
伊藤金属株式会社 | 燕市新栄町107 | ステンレス加工 |
株式会社イマジネイトセンター | 燕市吉田法花堂1260 | デザイン・印刷 |
株式会社内山熔接工業 | 新潟市西蒲区小吉1930-1 | 金属機械部品の製造及び加工 |
株式会社おたまや | 燕市富永1286-1 | キッチンツール製造 |
後藤鮫業株式会社 | 燕市大関東川根348 | 金属の加工全般の受託及び製造販売 |
株式会社齋藤金型製作所 | 燕市灰方54番地 | 金属の設計・製作・及びプラスチック製品の射出成型、組み立て |
サミット工業株式会社 | 燕市松橋123-1 | 金属器物製造 |
株式会社セキヤ | 新潟県燕市杉柳147 | 金属プレス加工 |
有限会社フナックス | 燕市大関159 | 金型の製造 |
山崎金属工業株式会社 | 燕市大曲2570番地 | 金属洋食器製造、その他金属部品加工 |
山崎研層工場 | 燕市大曲3204-1 | 金属研磨仕上げ |