白山前ー燕駅間を結んだ新潟交通電車線で走っていた通称「かぼちゃ電車」と旧月潟駅=新潟市南区月潟=を保存する「かぼちゃ電車保存会」(丸山裕会長・会員約40人)は8日、保存13周年記念開放を行った。
「電鉄」と呼ばれて親しまれた新潟交通電車線。1999年4月の廃線まで66年間にわたり中ノ口川沿いの集落の人、物、文化を運び続けた。「かぼちゃ電車」の名は、電鉄車両の緑と黄に塗り分けられた色合いが子どもたちにカボチャを連想させたのが由来と言われる。
廃線の翌年2000年に合併前の月潟村の呼びかけでボランティアによる保存会が発足。車両3両と駅舎を保存する一方、行政でも周辺の公園整備を進め、駅周辺の清掃などの日常的な維持管理、補修を行っている。
維持管理の必要もあって日曜は開けることが多く、とくに第2日曜は補修日として開放している。さらに年4回ほど一般開放をアピールしているが、そのなかでも保存記念は意味のある開放。廃線が4月4日で翌5日から旧月潟駅に車両が運び込まれたことから、この日を保存記念日としており、それに近い日曜に行っている。
ことしは会員のほか、2010年春から同会の保存活動に参加している新潟大学鉄道研究部の部員をはじめ一般の人ら約50人が訪れた。昔の姿を残す月潟駅と新潟電鉄開業時に日本車輌で製造された「モハ10形14号」が元になった「モハ10形モハ11号電車」、開業時に日本車輌で製造された車両「モワ50形モワ51号電動貨車」、奥羽本線新庄駅から新潟交通にやってきた「キ100形キ116号ラッセル車」を見学してもらい、この日の日付の入った普通入場券をプレゼントした。
かぼちゃ電車が走る姿を見たり、実際に乗ったことのある人には懐かしい。車両に乗り込むと昭和の初めにタイムスリップしたような感覚に。かぼちゃ電車を知らない人にもその愛らしいデザインにぐっとくる。
走行するわけでなく、かぼちゃ電車はいつでも同じ形でそこにあるので、ガチガチな鉄道マニアというよりは、地元の文化や伝統を残そうとする人たちに愛されている。