燕市の旧配水塔改修記念式典が14日、燕市総合文化センター駐車場で行われ、「水道の塔」の名で親しまれる燕のランドマークの改修工事完了を祝う。
式典は午前10時から行われ、鈴木力市長が式辞、来賓の大岩勉市議会議長、外壁の色の復元など改修をアドバイスした平山育男長岡造形大学教授、「水道の塔を愛する会」の早川賛治会長が祝辞を述べる。
バルーンリリースで参加者ら150人で風船を飛ばしたあと、飛燕太鼓と地元水道町1丁目子どもみこしの披露、旧配水塔の内部1階部分の公開と続く。公開はこの日午後3時まで。
さらに燕市文化会館ホワイエに会場を移して改修記念ミニコンサート「本宮宏美フルートコンサート」。旧配水塔を含む旧浄水場が町名に由来にもなった地元水道町に生まれ育ったフルート奏者、本宮宏美さん(27)が演奏を披露する。入場無料。
この日から4基の水銀灯による旧配水塔のライトアップも行われる。ライトアップは東北電力(株)燕営業所が平成3年(1991)に行って以来21年ぶり。平成3年から5年間、有志がクリスマスイルミネーションを設置したこともあり、それを撮影した写真は平成5年燕市成人式で記念品のテレホンカードのデザインにも使われている。
旧配水塔は旧燕町が旧浄水場の配水施設として建設したもので、日中戦争勃発の翌年、昭和13年(1938)の着工で、3年後の太平洋戦争が始まった同16年(1941)に完成した。鉄筋コンクリート造5階建てで5階部分に容積205立方平方メートルの貯水槽を備える。浄水した水を貯水槽にポンプアップし、高低差を利用して圧力をかけ、各家庭の蛇口へ水道水を届けた。
老朽化が進むなか、長く保存か撤去かという議論が続いていたが、相次ぐ中越地震、中越沖地震で倒壊の危険性が指摘され、撤去するにも改修に匹敵する費用がかかることから市は保存を選択した。
コンクリートを地盤に高圧噴射し注入する工法で地盤改良を行う大がかりな工事が昨年10月5日からことし3月15日まで行われた。総工費は7,045万円だが、うち地盤改良が約5,000万円を占めた。国登録有形文化財への登録も目指している。
高さは30.2メートル、塔の直径は最下部が10.5メートル、最上部が6.4メートル。工事は補修だけにとどまらず、建設当初のデザインの復元も進めた。4階から歩廊へ通じる外はしごを復元。金属製に変更されていた玄関の扉は当初の木製両開き戸に、金属板でふさいであった上部のアーチ部分は当初のガラス窓に復元した。
今の地面は、盛り土をして建設当初より高くなったいるため、玄関前にあった数段の階段が地下に埋もれている。階段は元に戻せないが、階段の親柱を配置して、そこに階段があったことがわかるよう工夫した。内部は、2階から上は脚立のようにはしごが斜めにかかっていたが、金属製の階段を新設してのぼりやすくした。
式典に先だって11日、旧配水塔内部が報道関係者に公開された。内部は貯水槽へポンプアップするのと貯水槽から水を落とすのと2本の太い配管に加え、あふれた水を落とすためのオーバーフロー用の細い配管の3本が縦に貫いている。それ以外はメンテナンスに必要な最低限の機能しかない。
2階の階段回りの手すりはガスの配管を流用。1階と2階を結ぶ階段も良く見るときちっと設計したというより現場合わせで作られたような印象で興味深い。4階の歩廊への出口から見下ろす中ノ口川の風景も新鮮な視点だ。
今後も1階部分に限って公開するが、見学を希望する人は見学日の1週間以上前に予約する必要がある。