燕市分水地区観光協会(田中公一会長)は15日、大河津分水桜並木や地蔵堂本町通りで第70回の節目となる分水おいらん道中を行う。行事を彩るサクラの開花は間に合わないが、昨年は東日本大震災で中止しており、2年ぶりの開催。満を持して絢爛(けんらん)豪華な時代絵巻を繰り広げる。
おいらん道中は午後0時半に信濃川大河津資料館を出発して大河津橋まで約1キロの桜並木を1時間半かけて進んだ後、3時に願王閣を出発して地蔵堂本町通り7、800メートルを分水福祉会館まで50分かけて進む。
おいらん道中は手古舞(てこまい)が先導。公募で選ばれた信濃太夫、桜太夫、分水太夫の3人のおいらんをそばに付く傘持ちとほうかん、さらにかむろ、舞妓など総勢70人の付き人を従え、独特の外八文字の歩き方を披露しながら進む。
もうひとりのおいらん、地蔵堂本町で傘持ち、ほうかんとともに観光客の記念撮影にこたえる染井吉野太夫は、地蔵堂本町通りの途中からおいらん道中に加わり、最後は4人のおいらんがそろって道中を終える。桜並木ではおいらん道中に先だって午前10時から11時半まで分水神輿「春の陣」がが披露される。
一方で地蔵堂本町通りでは、午前11時から午後5時まで本町テント村を開設しておいらんとの記念撮影のほかにも、盛りだくさんのイベントを行い、歴代おいらん18人も参加して記念写真に納まったり、運営を手伝ったりする。
飲食・物販コーナーには13の出店がある。物販は昨年のおいらん道中に間に合わせようと分水桜並木の土手下に造成された大河津分水さくら公園に6店、信濃川大河津資料館に2店も出店し、さくら公園には今は原発事故で立ち入りできない福島県浪江町のご当地グルメ「なみえ焼きそば」もお目見えする。
ほかにも本町テント村には、午前11時から受け付けで、先着40人が3,000円でおいらんと同じ衣装を着られるおいらん変身コーナー、午後1時から1時45分まで地元グループによる分水花見音頭&舞踊ショー、午後2時から3時ころまで分水太鼓の披露と盛りだくさんだ。
前日14日も午後1時から分水福祉会館を出発して地蔵堂本町通りから勝敬寺へ向かう桜まつり稚児行列が行われ、おいらん道中写真コンテストも開催。中国駐新潟総領事館から宮暁冬副総領事ら12人も見学に訪れる。燕市が14、15の1泊2日で行う「被災者再会交流事業 in 第70回分水おいらん道中」に参加する燕市内に避難していた、あるいは今も避難している85人も見学する。
分水おいらん道中は大正13年ころから催されていた地元有志による仮装行列が起源とされ、昭和9年に発足した「分水路花の会」が11年から花にちなんだ行事をと「おいらん道中」を始めた。今では関東、東北から観光客を集める名物行事として定着しており、人出は3年前、一昨年と8万5千人を数え、4年前は実に10万人にものぼっている。
昨年、おいらん役に決まった4人はそのまま、ことしのおいらん役を務めることになったため、この1年間、おいらん役が分水おいらん道中のPRに一役買うことができた。第70回の節目を記念して昨年、分水おいらん道中PR隊としてマスコットキャラクター「きららん」、「かさもちーたー」、「ほうかんがるー」を設定したが、おいらんの「きららん」もツイッターやフェイスブックといったSNSでPRを展開。「災い転じて福となす」で、これまでの分水おいらん道中にない充実した準備ができた。
2年ぶりの開催でもあり、例年を上回る人出を期待したいところだが、東日本大震災の被災地となった東北地方からの観光バスの駐車場利用申し込み数が例年を下回っているのが現状だ。あとは天気しだいで、関係者はサクラの花は間に合わないにしても好天に恵まれることを願っている。
当日の会場周辺は渋滞が予想される。周辺では係員が適切な駐車場へ誘導するが、ことしは大河津橋たもとの河川敷が使えないので注意する。