「水道の塔」の名で親しまれる燕市のランドマーク、旧配水塔の改修工事が完了したのを記念する式典が14日午前10時から燕市文化センターで行われた。続く記念ミニコンサートと合わせて300人近い市民が参加して外装から生まれ変わった旧配水塔の改修を祝った。
あいにくの小雨で式典は室内に会場を移して行われ、鈴木力市長は旧配水塔の歴史や地震も小学生のときに旧配水塔を写生した思い出、工事中から思いがけず工事用照明で美しい姿を見せてくれたことを話し、「これからもいろんな形で市民に残る存在であってほしい」と願った。
大岩勉市議会議長は、自身が営む電気工事店も参加して1991年から95年まで旧配水塔をイルミネーションで飾るクリスマスツリーを設置したことを話した。老朽化に伴って撤去するという声もあったが、「燕市のシンボル」として残すことになったのを喜び、この日から旧配水塔とすぐそばの中ノ口川堤防のサクラ並木の両方がライトアップされるのを楽しみにした。
改修工事のアドバイスにあたった全国の配水塔を調査して著書も出版している平山育男長岡造形大学教授は、配水塔を残すことにした燕市の判断に感謝した。研究者が残すよう求めて渋々残すことはあるが今回、保存の過程では「当初のような形、愛されたままの形で残ったのはすばらしい」。
新潟県内に配水塔が多い理由や実際には10年ほどしか使われなかったことなど授業のような内容に。それでも燕の旧配水塔は「なぜか壊されずにきょうまできた」、そして旧配水塔のことを女性に例えて「どうか彼女をよろしくお願いします」と願った。
燕の水道の塔を愛する会の早川賛治会長は、水道町一丁目の自治会長で、自宅は旧配水塔のそばにあり、中越地震、中越沖地震で旧配水塔が「すごく揺れてるのを見た」。老朽化が進み、年々、落下物も増えた。市議会でも撤去か保存かが議論されたが、「地元としては本当は壊してもらいたかったんですよね」。やはり地域住民の安全が優先した。
しかし、改修が終わって「ここまできたなーっていう、感無量です。ということで、これから今度は愛する会の会長として、燕のシンボルタワーとしていろんな企画を考えながら市民に愛される塔としていきたいと思います。それで目標は有形登録文化財」に登録されることで、それに向けて市とともに市民の協力を仰いでやっていきたいと述べた。
このあとは外に出てバルーンリリース。参加者は旧配水塔前に集まってそれぞれ手に持った風船をいっせいに飛ばした。地元の飛燕太鼓保存会による飛燕太鼓、水道町一丁目自治会による子どもみこしのあと旧配水塔内部を公開した。
来賓の見学が始まったところでサプライズ。続くミニコンサートに出演した地元水道町に生まれ育ったフルート奏者、本宮宏美さん(27)がソロで1曲を演奏。驚くほどの大きくて長い残響音が塔内に響いた。
一般の公開が始まるころには100人以上が列をつくった。一方で燕市文化会館ホワイエでは本宮宏美フルートコンサートが開かれ、約200人が来場してにぎわった。