三条市では22日午前11時に漢学の里「諸橋轍次記念館」=三条庭月=をリニューアルオープンする。この日は入館無料。それに伴って22日はオープン式とオープニングイベントの記念講演会、22日から特別展示と日中国交正常化40周年記念パネル展を行い、大型連休を前に下田郷に行楽客を呼び込む目玉としてもPRする。
諸橋轍次(もろはし・てつじ、1883−1982)は三条市庭月に生まれ、『大漢和辞典』を編集した漢学者で、三条市の名誉市民。リニューアルオープンに先だって午前10時から行うオープン式には、諸橋轍次の三男で三菱商事の社長、会長を歴任した諸橋晋六さん(89)や王華新潟中国領事館総領事が出席し、テープカットを行う。
オープニングイベントの記念講演会は、午後1時半から研修室で諸橋晋六さんが「諸橋轍次と岩崎小彌太」をテーマに講演する。晋六さんは和漢の古典籍を保存する専門図書館、静嘉堂文庫(せいかどうぶんこ)の理事長を務める。三菱財閥4代目社長だった岩崎小弥太(1879−1945)は、諸橋轍次の中国留学を支援し、留学後、静嘉堂文庫長に委嘱した。以来、小弥太が逝去するまで25年間、2人の交流が続いた。講演会は定員150人、参加費は無料で申し込みは必要なく、参加したい人は直接、会場へ出向く。
特別展示は22日から6月17日まで開く「諸橋轍次と岩崎小彌太〜静嘉堂文庫にみる二人の出会い〜」。諸橋轍次と小弥太は読書や閑談で小弥太の高い識見と人格に深い感動と尊敬の念をもった。2人の関わりを軸に、諸橋轍次が中国で収集し、その整備に努めた静嘉堂文庫の資料を展示する。
日中国交正常化40周年記念パネル展は「新文化運動から生まれた文学界の重鎮たち」として22日から6月17日まで開く。中国駐新潟総領事館と東京中国文化センター協力事業で、諸橋轍次が中国留学時に交流のあった中国文化界の重鎮たちの貴重な文献の写真パネルを展示する。
諸橋轍次記念館は、合併前の旧下田村がその偉業を後世に伝えようと平成4年(1992)、諸橋轍次の生家が立つ丘に建設した。それからことしで20年。総務省の住民生活に光をそそぐ交付金の全額補助を受けてリニューアルを進めた。工期は昨年11月22日からことし2月19日まで、総工費は設計を含めて約5,800万円。
リニューアルは館内を大幅に刷新。映像や音を使ったインタラクティブでアトラクション的な魅力もアップした。展示物は新たにコレクションしたものはほとんどないが、これまで所蔵していた資料を新たに構成して展示する。
また、日中国交正常化40周年で中国駐新潟総領事館を通じて中国政府から中国風流觴曲水座石(りゅうしょうきょくすいざせき)と中国風東屋、水墨画の寄贈を受ける。中国風流觴曲水座石と中国風東屋の設置は5月中のためリニューアルオープンに間に合わないが、水墨画はオープン式でお披露目。日本にもゆかりのある作家、里燕(り・えん)さんの制作で、記念館を入って正面にある諸橋博士の胸像の背後に飾る。
基本が常設展なこともあって年々、入館者は減少傾向で、一昨年の年間入館者は3,693人。大型連休前のリニューアル・オープンということで、大型連休は県央地域の新たな観光スポットとして人気を集めそうだ。
午前9時から午後5時まで開館、入館は午後4時半まで。休館日は月曜、月曜が祝日ならその翌日。常設展示室の入館料は個人で一般・高校生以上500円、小・中学生200円。問い合わせは同記念館(電話:0256-47-2208)へ。