2月29日付けで紺綬褒章を受けた燕市南2、会社役員大山治郎さん(80)に23日、鈴木力燕市長が褒章を伝達した。
燕市は昨年、名誉市民の日本画家、横山操(1920-73)のおい、横山一男さん=埼玉県蓮田市=から横山の作品の寄付を受けた。そのうち折りたたまれるなどして保存されていた5点の本画を横山の教え子、多摩美術大学の中野嘉之教授に依頼して修復した。
大山さんが会長に就く(株)曙産業は、大山治郎コレクション美術館を運営するなど美術に対する造形が深く、それにかかった費用の大半、500万円を寄付したことで紺綬褒章を受けたもの。鈴木市長が大山治郎コレクション美術館を訪れて大山さんに紺綬褒章と祝いの花かごを手渡した。
大山さんは「褒章がいただけるなんて。横山操さんの大切な作品の保存に一市民としてお手伝いさせていただき、よみがえらせることができました」と恐縮した。
修復した作品のなかでも「渡舟場」は注目を集めた。横山が20歳で青流展に出品したとされる作品。横山は自宅を移したときに大量の作品を焼いており、そのときに焼失したと伝えられていた。「そういう意味では貴重なだし、20代の作品はあれしかない」と大山さん。「すごい作品で、口出しするだけでなく、燕市に仕事をさせてもらおうと思った」と寄付した思いを話した。
「作品を通して郷土にこれほどの人がいたことを誇りに思ってほしい。人間が志をもてばいろいろな可能性があることを横山さんの作品を通して感じてほしいですね」と後進の希望につながることを期待している。