県央地域では、平場のサクラの花が25日、早くも終盤を迎えた。なかでも三条市大崎地区の大崎浄水場と大崎山公園のサクラが近年にないたくさんの花をつけ、見事な咲きっぷりで満開から散り始めに移りつつある。
大崎山周辺では、野鳥のウソに花芽を食べられ、花をどれだけつけるかは、ウソによる食害しだい。いっぱんに積雪期が長いほど食べ物に不自由してサクラの花芽を食い荒らすと言われる。この冬は記録的な大雪だっただけに、ことしの花はあまり期待できないと思われたが、ふたを開けてみれば見事な花をつけた。
大崎浄水場は、麻布谷をはさんで大崎山の南側、要害山、通称「水道山」のふもとにある。貯水槽が設置されている要害山の頂上からろ過池側のふもとにかけての斜面に大きなサクラが並んでおり、三条市のサクラの名所のひとつだ。
ふだん場内は立ち入り禁止だが、花見のシーズンは来場した人には自由に見てもらっている。24日は100人が来場し、25日はそれを上回るペースだった。
大崎浄水場は昨年10月、「三条市水道局大崎浄水場」として国登録有形文化財に登録された。それから初めての花見シーズンで、登録を祝うかのように斜面を淡いピンクの花で染めた。
春がすみで遠くの景色はかすんだが、この日の三条は最高気温23.2度の初夏を思わせる陽気。日傘を差す人や半袖になる人もいた。
大崎山公園のサクラも負けていない。頂上への道を三条市グリーンスポーツセンター入り口を過ぎて間もなく道路わきに並ぶサクラは、道路の上に覆いかぶさるように広げた枝にびっしりと花をつけ、サクラの花のトンネルだ。付近では春耕も忙しく、黄色のスイセンの花畑もサクラと共演する。
頂上は悲しいくらい花が少ない年も多いが、ことしは花見するに不足はない。びっしりサクラが並ぶ北西側の斜面はせっかく花がたくさん咲いても、木の下はササの林になっているのが寂しいが、十分に花見を楽しめる。
五十嵐川をはさんで大崎山の対岸には道心坂がある。昨年の新潟・福島豪雨では道路が一部が崩壊し、今もその部分は仮設道路になっている。道路が崩壊したのも切り立った斜面を削って道路が作られているから。山肌に沿って道路がダイナミックなカーブを描き、斜面に張り付くようにしてサクラが連なる。自然の景観を彩るサクラはポストカードにもなるような観光名所を見るようだ。
そこから月岡側へ行くと、三条市総合運動公園があり、道路の植樹帯に延長500メートル以上に渡るサクラ並木がある。公園内ではいくつも老人福祉施設の利用者が訪れ、歩道で職員に車いすを押してもらって花見したり、サクラに囲まれて日なたで過ごしたりしていた。
三条商業高校は、正面のサクラは落花盛んだが、裏手のグラウンド側、五十嵐川の土手下に並ぶサクラの巨木は、これでもかというほどびっしりと花を咲かせている。
穴場は金子新田工業団地の、三条工機製作所裏の水路に沿って並ぶサクラ。約150メートルに渡って約20本のサクラが連なる。枝ぶりが見事なサクラばかり。おまけに夜はライトアップも行っている。思いがけないサクラの名所に思わず車を止めて携帯電話のレンズを向ける人も多い。