三条デザイン研究会は26日開いた平成24年度定時総会で、名称を「燕三条デザイン研究会」に変更することを決めた。同時に会長はこれまで5年間務めた(株)スノーピークの山井太社長に代わって副会長だった玉川堂の玉川基行社長が就いた。
副会長には(株)キッチンプランニングの明道章一社長を再任、杉野工業(株)の杉野真司社長を新任した。新役員は山井スノーピーク社長の会長提案で選出、満場一致で承認した。
4月26日現在で会員は63人を数えるが、燕市の会員が増え、今回の役員改選では正副会長3人のうち2人が燕市。同研究会は会員相互の交流でデザインの創造的な開発研究を促進しようと昭和62年(1987)に発足したが、名称を「三条」から「燕三条」に変えることで新しい枠組みでスタートを切ろうと名称変更を決め、同時にロゴマークも決めた。
燕市には、つばめデザイン研究会が存在するが、それとは関係なく名称を変更。玉川玉川堂社長が自身の大書した「燕三条デザイン研究会」の書も披露した。ほかに議事では平成23年度事業報告、同収支報告(収入401万12,456円・支出203万6,919円・次年度繰越金197万5,537円)を承認、24年度事業計画と同予算(収支とも452万0,537円)を原案通り決めた。
事業計画では、分科会活動でこれまで5つの分科会に加えて「まちあるきグループ」を新設。「燕三条まちあるき」の新設コースの提案、既存コースの新提案を行う。「ビジュアルデザイングループ」では、新たにフェスブックページを開設、管理するとともに、会員は必ずフェイスブックに登楼することにした。
定時総会に続いて名称変更の記念の意味も込めた記念フォーラムを開いた。JR東日本新潟支社の高木信芳支社長が「地域産業のコミュニティーデザイン」をテーマに基調講演を行った。観光は少子高齢化時代の地域活性化の切り札で、21世紀のリーディング産業、すそ野の広い第6次産業とし、経済波及効果や旅行消費額、県内外別入り込み数の推移、旅の形態や目的の変化などをデータで示した。
観光は「発地主導型」から「着地開発型」へ移行し、新潟デスティネーションキャンペーンの取り組みやうまさぎっしりキャンペーンの集中PR、燕三条地区でのJRの観光の取り組み、真の「おもてはなし」は「旅先で接する地元の方々との笑顔、ふれ合い」であり、「“来て良かった”“また来てみたい”地域づくり」を求めた。
続いて玉川玉川堂社長をコーディネーターにパネルディスカッション。会員でもある渡辺果樹園の渡辺康弘さんが「燕三条 畑の朝カフェ」、(株)相場紙器製作所の相場浩専務が「燕三条まちあるき」とそれぞれが携わるプロジェクトをパネリストとなって紹介。さらに高木JR東日本新潟支社長と国定勇人三条市長がゲストパネリストを務めた。
国定市長は、着地型観光などこれまで3年間の取り組みでお膳立てが整い、情報の発信力も向上して「常時、受け入れできるのは次のステージ」とさらなる進展に期待した。ターゲットとする層に情報を届ける手法、ボランティアが腹いっぱいにならないような工夫が必要としながらも、三条の着地型観光は「県内でも非常にいいところまできているのでは」と高く評価した。
一方で、最初は新鮮でもすぐにマンネリ化することを心配し、「これから2年間は辛抱の時期」。「新しいものではなく、ぐっとこらえて繰り返し同じサービスをし続けるのが着地型観光の本質なのでは」と持論を展開し、そのキーワードとして旅は旅することの「確認行為」でもあるとした。
また、玉川玉川堂社長は三条駅の駅舎が明治時代の建造であるという話から、国の登録有形文化財への登録を期待する声も上がり、まちあるきとも関連して高木JR東日本新潟支社長はJR東日本の「駅からハイキング&ウォーキングイベント」の取り組みも紹介した。この後、懇親会に移った。