土砂災害が発生した三条市牛野尾で28日、応急復旧工事が完了し、県三条地域振興局、三条市、牛野尾自治会とそれぞれの対策本部を解散した。22日夕方から避難していた住民は1週間ぶりに自宅に戻った。
22日夕方、昨年の7.29豪雨災害と同じ場所で、融雪による地盤の緩みから再び土砂崩壊が発生し、「中の沢」を下って土砂が市道をふさぎ、車庫や住宅前まで流出した。県三条地域振興局が中心となって復旧にあたり、発生当日深夜から(株)外山組=三条市=を中心とした建設業者が24時間体制で復旧工事を行い、この日で作業を完了した。
好天に恵まれて工事は順調に進み、同日午後3時に独立行政法人土木研究所の雪崩・地すべりセンターの3人と北陸地方整備局1人が同振興局の担当とともに、工事の状況を調査した結果、工事は確実に終わっており、昨年7月の応急対策と比較して、各段に安全性があがったとの報告を受けた。
ほとんどの作業が終わった午後5時半から、牛野尾ふれあいセンターで、県が住民に対して調査の結果を説明した。住民から帰宅しても大丈夫かとの質問には、安全制度が高まり、しばらく雨の予報もないので自宅に帰っても心配ないと思っていると話し、同自治会でも帰宅していいと確認した。
また、三条市は午後6時から吉田実副市長を本部長とする現地対策本部を同所で開き、吉田副市長が三条市役所に設置していた災害対策本部とともに同対策本部を解散した。
あわせて、牛野尾自治会の災害復旧対策本部も解散し、熊倉直信自治会長があいさつ。熊倉自治会長は、各地区で同じような被害があり、いち早くその晩のうちに避難を完了し、夜中のうちに対策が練られ、次の日から24時間体制で警察、消防、地元消防団員から万全な体制で取り組んでもらい、安心して過ごすことができたと感謝した。
三条地域振興局の丸山朝夫地域整備部長は、災害発生から心配をかけたが、地域の協力、現場では外山組から昼夜いとわず対応してもらい、困難な現場だったが、関係者が一致団結して工事が進んだと感謝した。
また、地元の吉田進一郎市議は、土木建設業者の自衛隊のような活躍に敬意を表し、昼夜通しての仕事を見た地域の人が「すごいやの、あの姿見たとき涙がでる」と話していたと伝え、今回は地元、行政、業者三位一体で短期間で応急復旧ができたこと、地域の代表として心から敬意を表し、感謝すると述べた。
三条地域振興局の今後の土砂災害カ所の監視体制については、大雨警報発表時には、三条地域振興局庁舎に職員が待機して情報収集や情報伝達をする。また、牛野尾に設置した雨量計が時間雨量20ミリか連続雨量80ミリを目安に必要に応じてパトロールを実施する。
崩壊カ所付近に設置した土石流センサーが異常を感知した場合は、感知と同時に関係者に電子メールが自動配信されるほか、担当業者が直ちに現地確認し、職員が登庁して担当業者と連絡をとる。また、感知とともに赤色灯とサイレンで危険を知らせる警報器を当初は1基だったが、住民からの要望に応えて4基に増設した。
同自治会では、サイレンが鳴るなどした場合にはすぐに避難することなどを確認している。