ことしの大雪でフジ棚の3分の2がつぶれた燕市八王寺、真宗仏光寺派安了寺(松島孝夫住職)の境内にある県指定天然記念物「八王寺の白藤」が、ゴールデンウイーク後半から開花し、この週末にも見ごろを迎えそうだ。
フジ棚は東西約30メートル、南北約20メートルあり、毎年5月半ばに白い花房を下げて市外からも大勢の見物客を集める。この冬の大雪で境内の奧側3分の2のフジ棚が雪の重みでつぶれた。
「八王寺の白藤」は地元有志でつくる八王寺大白藤保勝会(大原大八会長)が管理しており、すでにフジ棚の修理とフジのせん定や整枝の作業を終わった。160万円余りの費用がかかり、うち109万円を県と市の補助でまかなった。
昨年はフジ棚を下から見上げると空が見えないほど、つるや葉が生い茂っていたが、今はすかすか。ことしの花は期待できないと思われたが、7日には花はさが数十センチに伸びて房の上の方から開花が始まっていた。
雪でつぶれた部分は花芽もばっさり落としたので、さすにがほとんどが花はないが、手前の3分1の部分は数こそ少ないものの例年と変わらない立派な花房を下げ、花の甘い香りが漂う。
ことしのサクラの開花は記録的に遅かったが、ゴールデンウイーク中の初夏の陽気のおかげが、フジの開花は例年並みのペース。5月半ばにも見ごろを迎えそうだ。
毎年、このフジを見ている人にはことしは物足りないだろうが、花房の数は思った以上で、「何とか格好がつきそうです」と同寺の松島孝夫住職。一時は壊滅的と思われるほどの大きな被害だったが、「今となっては返って良かったのかも」と行政の支援に感謝する。
また、13日は午前10時から同寺で第36回白藤茶会が開かれ、茶席券は500円で燕市中央公民館(電話:0256-63-7001)と吉田、分水の各公民館で販売している。すでに同寺へフジの開花のようすを見に訪れる人もぽつぽつあり、フジの花見を心待ちにしている。