19、20の2日間、ことしも燕市宮町、戸隠神社で春季例大祭が行われているが、いちばんの人気は木場小路と横町の万灯組の踊り子。それぞれ12人の踊り子がいるが、その24人すべての化粧は、燕市本町1、化粧品店「コスメド京子」の竹内京子さん(79)が半世紀以上に渡って一手に引き受けている。
宵宮の19日、竹内さんは2人の手伝いと3人で午後から横町万灯組、続いて木場小路万灯組と一気に24人の踊り子を化粧した。化粧には力士が髪に塗る「びんつけ油」を顔に塗る。
びんつけ油でないと化粧が一日もたず、きれいに色が出てこないと竹内さんは言う。「びんつけ油とほお紅でかわいくなるかどうか決まる」、「油をのばし方を覚えるのに10年くらいかかる」。
かつては地元の芸者が踊り子の化粧をしたが、芸者がいなくなると、東京の人に頼むようになり、竹内さんは10代後半からその隣りに座って真似したが、相手はプロで教えてもらえなかった。それから10年ほどたってその人が廃業して会えなくなるからと、初めて化粧を教えてもらった。以来、25歳ころから竹内さんは両方の万灯組の踊り子の化粧を続けている。
一方で後継者も育てようと技術を教えた人もいるが、「その人たちもみんな死になった人ばっかり」。自身も間もなく80歳。この日も娘をもつ母親から「ねえ京子さん、あのさ、もう2年頑張ってくんねって言われて。ウチの子、もう2年たたんとね、学校入らねんだて。あんたから化粧してもらいてんだ言われてもさ、80過ぎればいつポロッといくかもしらないじゃない」と弱った顔をする。
20日は朝、3時間で24人の化粧をするのは大変な作業と言う。それをこなすためにも、悪くなっていたひざを手術した。「歩くのもやっとーけどさ、まあ、なんとかなるんでねーのと思って」と自信ものぞかせた。