東日本大震災のがれきの受け入れを表明している三条市の焼却処理施設の地元の三条市福島新田甲自治会(山岸康男自治会長)の役員10人は21日、泉田裕彦知事と面談し、「震災がれき問題についての要望書」を手渡して、がれきの受け入れや放射能などへの不安を訴えるとともに、慎重姿勢をとる知事の見解を求めた。
午後1時20分に山岸会長はじめ同自治会の役員10人が県庁を訪れ、泉田知事と面談した。面談は最初のあいさつ以後は、非公開で40分余り行われた。
山岸自治会長は、がれきの受け入れを進める三条市が4月に開いた地元説明会で、放射能は除去されるので心配ないと説明を受けたが、危険という話もあって納得できなかった。地元の合意は必要ないとして進めていることなどから、いろいろな意見を聞き、地元の意見を自治会の意見として集約していくことにした。
そこで、受け入れに慎重な姿勢の泉田知事に力を借りようと意見が出た。学者や専門家の意見も聞き、さらに市に公開で説明会を開いてもらい、そのうえで自治会総会で意見集約を図ることにした。そうした経緯や今後の取り組みを話した。
泉田知事は、放射能についていくつか懸念していると言い、放射性物質の処分などへの不安の払しょくは、「最低限、原子力発電所のなかで、低レベル放射性廃棄物を扱ったくらいのことをしないと懸念が残りますよね。そういったところを心配している」。質問には同席した県の専門部署の職員とともに事例をあげるなどして答えたいと話した。
要望書の要望事項は5項目に対しての知事の見解や回答を求める要望で、県の震災がれきの処理に対する基本的な考え、三条市が「震災がれきは100ベクレル以下で自然のがれきと変わらない安全なものだから、地元の合意を得られなくても法律に基づき処理をする」と言っていることなどへの見解、「100ベクレル以下であっても、総量が問題」とする県の考え、国の基準を守っても基準値超えの排水が出たところがあるとのことだがなぜか、「地元合意なしに進める」三条市の姿勢を改める方法はないかなど。
面談を終えた山岸自治会長は、知事に慎重姿勢をとる科学的根拠なども聞いたと話し、「県民の健康と生命を守るために努力されていると改めて感銘しました」。「三条市長にもわれわれの不安をぜひ受け止めていただきたいなと、あらためて感じましたた」と話していた。
受け入れに反対しているとも言われるが、情報を集めて、自治会としての意見集約をするためのもの。コメを送るなど復興を助けたいという気持ちはあると話した。同自治会で、7月ころと計画される三条市の試験焼却までには、意見をまとめ市長に届けたいとした。
また、面談後に泉田知事はツイッターで「がれきの受け入れを心配されている地元住民の代表者の方々と面会しました。このような事態になるのは、原発事故後に放射性物質の管理の基準を原発の中よりも緩め、専門家のいない全国の市町村に管理を任せようとする国の方針によるものだと感じています」と国の姿勢を批判している。