燕市は一昨年に鈴木力市長が市長に就任して以来、トップダウンで2月25日の天神講で供える燕市ならではの和菓子のPRに取り組んでいるが、燕市吉田中町、長谷源製菓舗は、24、25の2日間行われている地元の吉田天満宮の大祭にあわせて初めて天神講以外の季節に天神講の菓子を販売している。
天神講は、学問の神で「天神」とも呼ばれる菅原道真の命日の2月25日、床の間に道真の掛け軸や像を飾って学業成就などを願う行事。燕市内の菓子店では、今も道真や縁起物をかたどった和菓子を作っており、全国的に珍しい。
その菓子も燕地区と吉田地区は粉菓子、分水地区は金花糖で作られるという特徴がある。長谷源製菓舗が作っているのは粉菓子。天神講のときは道真のほかに松竹梅やツル、カメなどをかたどった菓子10種類近くを製造販売しているが今回、初めて吉田天満宮の大祭にあわせて販売することにした。
どれくらい売れるかもわからないので、販売は道真をかたどった1種類だけ。天神講では550円で販売したが、今回は500円にディスカウント。同店前には祭りで200を超す露店が並ぶが、同店も店先に台を設置して菓子を並べた。
燕市はことし、天神講の菓子のPRにとのぼり旗を製作して市内の菓子店に配布した。そののぼり旗も立てて、いわば季節外れの天神講の菓子をアピール。宵宮の24日は製造した25個のうち20個が売れた。店主の長谷川喜代志さん(71)は、「初めてにしてはまあ良かったんでないかと思います。まだ、あしたもありますしね」と売れ行きに満足だ。
「天満宮」は道真を祭神とする神社。吉田天満宮も同様で、拝殿や本殿には道真像を安置する。言うまでもなく天神講とつながる。「立派なのぼりも作ってもらったんで、天満宮の祭りでもどうかと思って作ってみました」と長谷川さん。
子どもにと買う親がほとんどで、懐かしいと言う人もいれば、初めて見たという人もいた。「こういうのがあることを、やっぱり覚えてもらわんと困るんだね」。「天神さまのまつりですからね。またね、だんだん、だんだん、大きくなっていくと思いますよ」と天神講と吉田天満宮の祭りで道真の菓子の人気が高まることに期待している。この菓子は翌25日も販売する。