三条市の松永悦夫教育長の退任式が31日朝、市役所で行われ、国定勇人市長はあいさつで、小中一貫教育や一体校問題などさまざまな状況下でも「教育として何をしなくてはならないか」とぶれることなく前に進んだ松永教育長の思いを心に刻み、感謝の気持ちを伝えた。国定市長のあいさつの全文は次の通り。
先ほど8時30分に松永教育長に対して退職辞令の交付を行わせていただきました。きょうという日が来るのを自分の中では避け続けてきたような気がします。交付するわずか30秒足らずの間に、私の感情はさまざまな思いの中で錯綜(さくそう)して、混乱をし、多くの言葉を割くこともなく、その退職辞令の交付を終わりました。
今もその思いには変わりありません。どんな言葉を紡いでも教育長のこれまで三条市の教育行政に果たしてきた役割を語りきることなどできませんし、少なくとも私が教育長さんに対して思い描いていた憧れの姿、そして尊敬の気持ちを語り尽くすことなどできないと思っているからです。
松永教育長は平成13年から10年余という、県内でもまれにみる長きに渡って三条市の教育行政に努めてこられたことは私が申し上げることはなく、皆さまがたが十二分にご案内の通りです。
私自身平成15年の4月から三条市役所にお世話になり、平成18年からこの職という立場にさせていただき、職員として、そして首長として松永教育長に親しく接する機会を得たことは、私自身の人生にとりましても大いなる誇りです。
人事の話なのであまり外に言葉を外に出すことではないのかもしれませんが、私が三条市長に就任した当初、松永教育長から身体伺いをいただきました。私自身は、ぜひとも一緒に仕事をさせていただきたいというなかで、ご自宅におじゃまさせていただき、三条市の子どもたちをめぐる今の環境、教育をめぐる環境について、どれくらいの時だったかを忘れるくらいに語りあったことを今でも覚えております。その時におっしゃられた言葉、覚悟のほどが、今、小中一貫教育という形で結実の時期を迎えようとしています。
ですから私自身のみが知っていることなのかもしれませんが松永教育長が、おそらく教育長就任時から思い描いていた教育のあるべき姿というのは、一時もぶれることなく着実に前に進んでいたということを私自身が証明できるひとりであろうと思っています。
小中一貫教育、とりわけ一体校の問題が、議会でも市民全体にもさまざまなかたちで波紋を広げ始めたその時期から、教育長には大変な精神的なプレッシャーもあるなかで、大変な思いをさせてしまい心苦しく思っているわけでありますが、私自身が感じておったのは、そうした状況にもかかわらず、教育長は一切、ぶれることなく、三条市として長きの将来に向かって物事を考えて行ったときに、教育として何をしなければいけないのか根本がぶれていないがゆえに、ますます教育に対する思い入れの深さが磨かれていったような気がしております。
きょうを迎えた前後から私は、教育長に、そして皆さんにも、最近の教育長の教育問題に対する答弁は神がかってきたなというふうに何度も言った記憶がございますが、あれは冗談でもなんでもなく、私自身、議場で教育長の答弁の姿を、教育長が心の底から訴えかけているあの答弁の姿を見て、議場で何度も感情が込み上げ、涙があふれそうになることを抑えたことが何度となくあったことを覚えています。
まさに教育長は教育長として階段を上り続けていく中でますます子どもたちの将来に対して、現実的な目の前の課題ということではなくて、まさに子どもたちのために何ができるのかというところでの崇高な領域に最後は立たれたのかなと思っております。
ますます、もっともっと、これから先も一緒になって三条市の教育行政に磨きをかけ、拍車をかけていきたいというのはやまやまですが、教育長さんのご自身が発せられる、体力の限界、年齢的なこと、自分自身の人生をトータルで考えたときの引き際のこと、それぞれ考えたときに、わたしにはもはや教育長を止める理由はなくなってしまいました。
これまでの間、本当に長きにわたって三条市の教育行政のために尽くしていただき、本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げ、最後まで涙を出さないつもりで頑張ってきたつもりでありますけれどもまだまだ精進が欠けております。結末がかっこ悪くなって申し訳ございませんでした。
ほんとに長きに渡りまして三条市のために尽くしていただきありがとうございました。これからも我々は教育長の思いをしっかりと胸に刻み、教育委員会事務局のみならず三条市職員一同、教育長の言葉を信じながら、しっかりと気持ちを抱きながら、三条市の市政発展のために尽くしてまいりたい。今後ともお体に気をつけられて、教育長というポストははずれても三条市の子どもたちを見守っていただくことは責務でありますから、引き続き、そういう立場からわたしたち叱咤激励することを切に希望いたしまして、送別の辞とさせていただきたいと思います。本当に教育長ありがとうございました。