24日まで新潟市新津美術館で開かれている「ウルトラマン創世紀展」を見てきた。新津美術館は新津市だった時代にスヌーピーを見に行って以来で「数年ぶり」かと思っていたが、調べてみたら新津市が新潟市に編入したのが7年前なら、「スヌーピーとチャーリー・ブラウンの世界 チャールズ・M・シュルツ原画展」が開かれたのがなんと11年前の2001年。感覚と現実に流れた時間とのギャップにめまいがしそうになった。年をとるわけだ。
それはともかく、「ウルトラマン創世紀展」はすごかった。ウルトラマンを見て育った「ドンピシャ」の世代だ。「ウルトラQ」をこわごわ見ていたし、「ウルトラセブン」はウルトラマンの亜流とややひいて見ていた。続く「帰ってきたウルトラマン」ではもうほとんど興味を失っていた。
ウルトラマンやウルトラセブンは、それ以降のウルトラシリーズと違って社会問題などを扱っていて奥が深かったなどと評されることが多い。検証するほどファンでもなく、なんとく郷愁がそう思わせているのではないかとも考えていたが、そのもやもやが氷解した。解説に、ウルトラセブンまでは家族団らんで見ることを前提としていたが、それ以降は子ども向けとしてつくられたと。
ウルトラセブンまでの番組を見終わったあとの、あの複雑な感情は、郷愁で美化されているのではなく、おとなの鑑賞に耐える作品としてつくられたからだった。あまりネタバレするのもあれだが、いくつかを。
ウルトラマンのカラータイマーが3分間なのはCGがなかった時代、難しかった特撮シーンを抑制するためだった。カラータイマーは残り時間が少なくなると青から赤に色が変わる。赤になると同時に点滅したのは、白黒テレビでもわかるようにという配慮だった。アップル社のWi-Fiルーター、ベースステーションのインジケーターは当初、色の異なる光で状況を表示したが、その後、色覚に問題のある人のために白色だけの点滅パターンで情報を提供するようになったのを思い出させる。
ちなみに会場の関連グッズの販売で「ウルトラマン カラー麺タイマー」という、その名から想像する通りのグッズが売っていたが、あと一歩で手が出るところだったが、その場で通販価格をチェックしてぐっとこらえたのは、ここだけの話だ。
ウルトラマンは警察機構、ウルトラセブンは地球防衛軍が設定のベースになっているのも初めて気付かされた。今になって思わずひざを打つネタがいっぱいだ。
ウルトラマンで最も脳裏に焼き付いている映像は、変身シーンの赤いバックで右腕を突き出したポーズだ。これを印刷した巨大なバナーが美術館を入ってすぐのところに下がっているが、広角レンズっぽい誇張した遠近感、大胸筋の隆起、首を曲げた角度。思い入れもあるだろうが、美しいの一言。そのポーズを再現した3Dモデルも展示されている。
当時の隊員の制服は、どこかの町の民俗資料館の展示物かと思うほど、薄汚れてぼろぼろになっていた。ウルトラセブンのアンヌ隊員のかわいさにドキッ。隊員のヘルメットの造形の美しさに、昭和の高度成長期、日本のクリエーターたちの感性の豊かさが凝縮。シナリオなどにいちいち手描きされているロゴに、子どものころにノートの片隅にいろんなロゴをいたずら書きしてたのを思いだした。
何と言っても懐かしかったのは、科学特捜隊の胸に輝く流星バッジ型通信機。すっかり記憶の片隅に封じ込められていた。子どものころ、このおもちゃを手に入れ、プラスチック製のやすっぽいものだったが、うれしくてアンテナを出したり引っ込めたりしてたのを何十年かぶりに思い出した。グリコのキャラメルのおまけだったかも。
などと、だらだらと書きたくなってしまうくらい、いい年をして興奮したという始末。ウルトラマンで育った世代は必見。