平成23年度ジャパン・ツバメカトラリー・ハウスウェアデザインコンクールで関東経済産業局長賞を受賞した作品、ステンレス製のシンプルなデザインの花器にプリザーブドフラワーをアレンジしたプラントポット「KALEN(カレン)」が「七夕」の7月7日に発売される。「メード・イン・ツバメ」にも認証されており、燕市内の若手起業家とモノづくりのコラボレーションにも注目だ。
台座部分と、プリザーブドフラワーを納めたポット部分が分かれている。台座は太鼓橋のようにアーチを描いた「渡月」と、球を横に半分に切ってお椀を伏せたような「弦月」の2種類あり、それぞれ仕上げが鏡面とつや消しの2種類あり、計4種類のバリエーションになる。上から見ると約10センチ四方に収まり、手のひらにのるコンパクトサイズだ。
その中心にプリザーブドフラワーで飾ったポットをはめ込む。ポットは試験管の底の部分を切り取ったような形状で直径約5センチ。プリザーブドフラワーは花を生きているときのような姿のまま長期保存できる技術で、バラ、アジサイ、カスミソウ、ベアグラス、ヘデラ、カラー、ピーコックグラスなど優しい色合いのは花で彩る。
パッケージも大きな特徴だ。鮮やかな緑の上箱を開くと、黒い下箱が現れる。その2色のコントラストのなかにプリザーブドフラワーが一段と映える心憎い演出。真四角のメッセージカードも下箱の切れ目に刺して立つような形で、意外性のあるギフトに最適だ。価格は台座の仕上げによって異なり、花も含めて税込みで鏡面が1万2,600円、つや消しが1万0,500円。
この商品を開発したのは、ステンレス素材で新商品開発、企画営業を行う「雑貨創造」=燕市東太田=。代表の田中光浩さん(33)はこれまで13年間、市内の金型製造業者などで働き、ことし1月に独立した。金属加工のノウハウの蓄積があり、デザインと同時に加工の工程もイメージできる。「今までになかった形、デザイン性の高いモノを作ってみたい」と独立して初めて手掛けたのが「KALEN」だ。
市内異業種とのコラボレーションにもこだわった。プリザーブドフラワーは花粉アレルギーの心配がなく、水やりの必要がないという特徴にも目をつけ、花のアトリエ&スクール「SNOW DROP」=燕市吉田文京町=の加藤恵さんに頼んだ。パッケージデザインは長谷留印刷所デザイン室LOLO(ロロ)=燕市杣木=の西村隆行さんに依頼し、花や緑のギフトは中が見えるパッケージが多いなか、あえて見えないようにして箱を開けるときのワクワクを感じてもらえるようにした。その結果、原産地が燕市であることやデザインのクオリティーなど品質も評価される燕商工会議所が定めた「メイド・イン・ツバメ」にも認証された。
こうしたさまざまな角度からのこだわりが、ジャパン・ツバメカトラリー・ハウスウェアデザインコンクールでの受賞につながった。同コンクールは、燕市産品のデザインの高度化と振興を目的に毎年行われており、「金属洋食器・金属ハウスウェア」と「関連製品・新分野開発製品」の2部門で募集し、23年度は燕市を中心に26社から40点の応募があったなか、「KALEN」は「関連製品・新分野開発製品」部門で関東経済産業局長賞を受けた。
「今回は花とのコラボでしたが、キャンドル職人とのコラボもあるかなと」と田中さん。「地域教材を作れたらおもしろいのでは。燕なので子どものうちからモノづくりにふれてもらいたい、そんなことも考えています」と夢は広がる。
今回の「KALEN」は、生け花のように大きくはなく、一輪挿しよりは華やかで意外となかったサイズ。ギフト市場を最大のターゲットにしており、試しに友人から「母の日」のプレゼントに使ってもらった。「すごい喜ばれましたね」と田中さん。すでにギフト関係で何社か引き合いがきている。販売数については「月100とか200とか出したいですね」と話している。