燕のボブ・ディランだぜぇ〜、ワイルドだぜぇ〜。22日の燕市議会で副市長の選任が決まった南波瑞夫総務部長(58)について書いてみようと思う。ニヤッとした人は南波部長がワイルドだった当時のプライベートな部分を知る人だろう。
それほど燕市役所内部の人材や力関係にに明るいわけでないが、菊地剛副市長の急逝後、次の副市長には南波部長以外に考えられなかった。鈴木力市長のこれまでの言動から外部登用はないと確信していた。 副市長へのコースは総務部長がふさわしいからといった理由からではない。さほど付き合いが古いわけでもなく、どちらかと言えば漠然と副市長に最もふさわしいと思っていただけに過ぎないかもしれない。しかし、そう思われる存在であることが意外と大切なんじゃないかとも思う。
たっぱがあり、なかなかのダンディーガイだ。登山が好きで、いまどきの山ボーイ風なシャレオツなアウトドアファッションで、国上山にも姿を見せるとか。「燕のボブ・ディラン」の異名をとったとも言われるほど、学生時代から音楽好き。明治学院大学に通い、東京から戻ってしばらくたつと人前でもフォークを歌うようになり、今は活動を休止しているものの、フォークグループを続けていたらしい。
担当はボーカルとギター。好きなアーティストはCSN&Y(CS&N?)やニール・ヤング。やはり音楽好きだった菊地前市長もCSN&Yがお気に入りだったということがわかってから、そういう人が自分以外にも市役所にいたのかと、菊地前市長と意気投合したという。
ギターを持って歌うことはなくなったものの毎年、飛燕夏まつりでは「燕粋会」会員として木遣り(きやり)を歌っている。と書きながらネットを検索していたら、YouTubeで南波部長と思われる燕粋会の木遣りの動画を見つけたので、これは埋め込まねばなるまい。
話は戻って気になったのが、副市長選任の同意を受けた後の南波部長のあいさつ。 「この任に当たっては市長から指名されたことの職責の重さ、これを右の肩に、また、議会からご同意いただいた責務の重さを左の肩に、しみじみと感じております」というくだりだ。
南波部長は紙を読みながらあいさつしたという。推敲を重ねた文章であることは間違いない。「双肩」ならわかるが「右の肩に」、「左の肩に」だ。日常会話はもちろん、あいさつでもめったに聞かない言い回しだ。南波部長が音楽好きであることを知らなければスルーしていただろうが、これは歌詞が元ネタだろうと踏んだ。
欧米の曲の歌詞でも右に、左にと繰り返すフレーズは良くある。広く知られたところでは日本でも美空ひばりが『東京キッド』で「右のポッケにゃ夢がある、左のポッケにゃチュウインガム」と歌った。先に死去したジョニー吉長が歌うピンク・クラウドの『in my pocket』の英語の歌詞にも右のポケットには「笑いの愛」、左のポケットには「夢の愛」があると歌う。
脱線したが、元ネタについてもちろん南波部長に確認した。南波部長は元ネタの曲が存在することを明かした。誰にも気付かれないと思っただろうが、そういうどうでもいい所には不思議と鼻が利く。具体的な曲名は内緒とのこと。あいさつでは論語や名言を引用するケースは良くあること。それが現代の歌というだけのことで、しかもそっくり引用したわけではなく、スタイルを借りただけ。照れたり遠慮したりする必要はないと思うが、本人の意志を尊重しよう。
とはいえ、副市長選任のあいさつでも好きな曲への思いを込めるあたりに、こだわりを感じさせる。青春時代にヒッピーやフラワームーブメントに大きな影響を受けた世代ゆえか。副市長になっても、のどが枯れるほど怒鳴り声をあげるようなロックスピリッツを発揮をと願ってやまない。
などと書きながら今度は、明治学院大学で音楽評論家渋谷陽一の後輩じゃん!と気付いた。大学で重なった時期があるのだろうか。今度はこの辺りを掘ってみよ。