【小耳聞き耳】人前に出ることで1年で大きく成長した燕市分水地区に住む20代前半の2人の女性に学ぶ (2012.6.22)

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人前に出ることが1年で人を大きく成長させるということを、くしくも燕市分水地区に住む20代前半の2人の女性に教えられた。ひとりは、ことしの燕市・分水おいらん道中でおいらんを演じた上田智世さんだ。昨年2月、おいらんに選ばれたときは、見ている方が心配になるほど緊張していた。

2012年1月の三条マルシェのケンオー・ドットコムのイベントに参加してくれ、国定三条市長とツーショットに収まる上田さん
2012年1月の三条マルシェのケンオー・ドットコムのイベントに参加してくれ、国定三条市長とツーショットに収まる上田さん

ことし1月の三条マルシェにケンオー・ドットコムはイベントして参加した。イベントでは上田さんに来場者と記念撮影してもらう役をお願いした。おいらん役に選ばれてから1年。その間にイベントやメディアへの出演、取材も数多くあったからだろう。その立ち居振る舞いは1年前とは別人かと思うほど堂々としていて、国定勇人三条市長とのツーショットの撮影にも余裕の笑顔で応えていた。

昨年の分水おいらん道中が中止になったため、ことしの分水おいらん道中の前にあらためて記者会見が行われた。上田さんの母も、かつておいらん役を務め、分水おいらん道中で初めての親子でおいらん役となった。上田さんは、母から「歩ききることを目標にするのではなくて、やっぱりおいらん役は魅せること、魅了することを目標としてちゃんと歩きなさい」と言われたことを紹介した。セルフプロデュース能力まで身につけたようだった。

2012年4月の分水おいらん道中で上田さんは見事においらん役を務めた
2012年4月の分水おいらん道中で上田さんは見事においらん役を務めた

これも1年前の記者会見のときはと別人のように強い意志や決意を感じさせた。その言葉通りに上田さんが見事においらん役を演じきったことは、分水おいらん道中を見た人なら誰もが認めるところだろう。

もうひとりは、納谷美咲さんだ。ワーナー・マイカル・シネマズ県央などで上映中の燕のご当地映画『アノソラノアオ』で、地元のキャストオーディションでヒロイン役に選ばれた。こちらも昨年5月の制作発表では緊張の様子がありあり。懇親会場で納谷さんに直接、取材する機会があったが、あまり話は弾まなかった。あとで聞いた話ではあまりの緊張から制作発表を前にじんましんが出て、医者にかかる時間もなく、最悪の体調で制作発表にのぞんだことを知った。

2011年5月、クランクインした『アノソラノアオ』の撮影で待ち時間の納谷さん
2011年5月、クランクインした『アノソラノアオ』の撮影で待ち時間の納谷さん

昨年夏、分水まちなか盆踊りの取材へ向かう途中、アルバイト先の居酒屋の前で納谷さんに会った。かわいい浴衣のような服を着ていたので、写真を撮らせてほしいと頼むと、居酒屋のメニューを手に喜んで写ってくれた。初めての印象よりずっと気さくだった。

ことし3月の関係者特別有料試写会で、納谷さんは約300人を前に三田村邦彦さんや中山麻聖さん、相沢まきさんとトークショーに出演。ここでも心臓が飛び出しそうなくらいバクバクだっと言う。ところが、6月に入ってワーナー・マイカル・シネマズ県央で行われた『アノソラノアオ』公開初日の舞台あいさつでは、なぜか「いけるかも」と思ったと言う。大好きな溶接の話で笑いもとり、今までにないリラックスした表情だった。

2012年6月20日、ケンオー・ドットコムの「美人さんに逢いたい!」第1回にゲスト出演した納谷さん
2012年6月20日、ケンオー・ドットコムの「美人さんに逢いたい!」第1回にゲスト出演した納谷さん

そして20日、ケンオー・ドットコムのUSTEREAMを使った不定期放送「美人さんに逢いたい!」の第1回にゲスト出演してもらった。映画のなかでは一度も笑わなかった納谷さんだが、ここではとにかく良く笑った。ときにはホスト役の元浅草芸人、縁竹縄さんを食ってしまうほどで、司会役が逆転して納谷さんが縁竹縄さんに質問する場面も。納谷さんのふだんの様子を知っている人にはそうでもないのかもしれないが、最初に見た納谷さんからは考えられない生き生きとした表情。何かひとつの壁を越えたような印象だった。

個人情報保護法が拡大解釈され、さらにコンプライアンスが相乗効果となって個人の情報、プライバシーがいっそう表に出ない社会になっている。それによって個人のリスクは低下するが、社会のリスクは増加する。個人の匿名性が高まってコミュニティーの結びつきが弱まり、責任の所在があいまいになる。

個人をさらさなけらばならないFacebookは日本では根付かないと見る向きが多かったが、首都圏を中心にメディアとして浸透した。三条市では3、40代を中心にさまざまな活動が盛んになっているが、これは個人情報の保護が厳しくなっている動きに対するカウンターとしての意味も大きいのではないかと思っている。

自分の名前で表に出る、人の前に立つという行為は、腹をくくって責任を引き受ける覚悟が必要になる。若いふたりを見ていると、この1年でそうした覚悟が自然に身に付いたように思える。そのことがふたりにとってこの1年間で得た最大のものだったのではないだろうか。こういう時代だからこそ、人前に立つことが大切になっている、そんなことを考えさせられた。


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