三条市は24日、ことしも水害対応総合防災訓練を行い、8年前の7・13水害を教訓に策定した三条市水害対応マニュアルに基づいて、情報伝達や要救護者支援、救助訓練など、それぞれの立場で必要なさまざまな訓練を行った。
2004年の新潟・福島豪雨災害で諏訪地内の五十嵐川の堤防が決壊した7・13水害の翌年から毎年、実施している訓練。昨年と同様に災害の発生時刻や場所、規模などを事前に知らせず、防災担当者が随時、発表する災害の推移に対応し、マニュアルに沿って災害応援活動などを行った。市民には市の広報などで訓練の実施を知らせ、昨年4月に全戸配布した「三条市豪雨災害対応ガイドブック」の確認を呼びかけている。
参加者は、消防を含む市職員、消防団、自治会・自主防災組織・民生委員、県、三条署、ライフライン関係機関、介護保険サービス事業所、協力企業など幅広い組織。午前5時に笠堀ダム・刈谷田川ダムが洪水警戒体制に入ったとして訓練を開始した。
職員の参集、災害本部・支部の設置から、情報共有、同報系防災行政無線の運用、情報伝達、要援護者の支援、避難所の設置と住民の避難、水防、応急救護所の設置と救助など、実際に水害が発生した場合の時系列に沿って訓練した。
水害が想像しにくい抜けるような青空が広がったが、市役所内に設置された災害対策本部をはじめ、各課では次々と伝えられる河川水位の増水や雨量、ダム情報に真剣な表情で取り組んだ。
水防訓練や救助訓練は、昨年の7・29豪雨により河川敷や道路のコンクリートなどが壊れたままの五十嵐川の渡良瀬橋上流で午前9時ころから行われた。数年ぶりに県の防災ヘリコプターも参加し、川の中洲に取り残された要救助者をピックアップして岸に降ろし、救急車で搬送するなどの救助訓練、消防団による土のう作成や土のう積みを訓練した。
五十嵐川沿線の防災活動協力事業所による土のう作りは、15社のうちコロナ、日本ハム惣菜、三条化工、下村工業の4社が参加、袋にスコップ7杯ほどの砂を入れて25キロから30キロの土のう次々と作った。
7・13水害で本社も大きな被害を受けたコロナは毎年、若手社員が交代で参加している。今回参加した20歳代の4人にとって、7・13災害は入社前で、話を聞いたりニュースを見たりしているが、体験はしていない。土のう作成は初めてで、「結び方や砂の加減が難しかった」と話していた。
また、避難準備情報の発令や避難勧告の発令では、防災行線無線を使って放送を行った。驚かせないようにと何度も「訓練」とアナウンスしてからサイレンを鳴らしたが、堤防の上から水防訓練を見物していた五十嵐川沿線の市民は、「訓練とわかっていてもこの音は聞きたくないね」と話していた。