越後三条鍛冶集団(小林由夫会長・25事業所)の初めての展示会「越後三条鍛冶集団 技術展」が28日、三条商工会議所で開会し、29日までの2日間をバイヤーズデー、最終日30日を一般開放として三条鍛冶の技術を紹介している。
28日は会場入り口前でに開会式が行われた。小林会長は、創設20周年を迎えて初めての展示会から広がりが生まれるきっかけになり、初めて見本市に出展するメンバーもいるのでどんな成果が出るか期待しているとあいさつした。
来賓の祝辞で国定勇人三条市長は、三条鍛冶道場のオープンを皮切りに、伝統的工芸品の指定、伝統工芸士誕生と、20年の歴史のなかでも「近年は追い風が吹き始めている」とし、この技術展がさらなる飛躍のきっかけとなり、三条の誇る技術があらためて県内外へ示されていくことに期待。斉藤弘文三条商工会議所会頭は、「自ら殻を破るあすに向かっての第一歩の明かしではないか」と述べ、技術展の成功を祈念した。
黒いゲートで装飾した会場入り口前で、小林会長や来賓がテープカット。ふつうは洋ばさみが使われるが、ここではもちろん三条鍛冶がつくった和ばさみの木ばさみで紅白のテープを切り、開場した。
越後三条鍛冶道場のメンバーは、32歳から74歳までの37人。そのメンバーが所属する25の事業所すべてが出展し、壁面を囲み、中央には伝統的工芸品の指定を受けた「越後三条打刃物」10点と、それぞれの製造工程を表した展示を行っている。
各事業所の展示コーナーは、壁面にメンバーの鍛冶職人の顔写真や作業写真、商品の写真、事業内容やプロフィールなどを記載した写真パネルを展示。その下の展示台に、それぞれがこれまでに製造した商品を展示し、職人自らが接客し、説明している。
農業用のはさみや包丁、水産用の包丁、建築関係、皮や靴の職人などさまざまな職種で使用する道具など、技術があるからこそ対応できる手作りの特注品の数々も展示されている。その職種だけでしか需要がないもので、一般には目にすることのないような道具も多い。各ブースを回る来賓はじめほかのメンバーも「これは何ですか?」と使用方法を聞き、幅の広い三条鍛冶の技術に感心していた。
製造工程の展示では、包丁や鋏、鉋など「越後三条打刃物」10点の材料から完成品までを順を追って並べて展示。多いものでは20以上の作業途中の形が並べられており、来場者は、四角い板材が鎌になったり、丸い棒がはさみになったりと、完成品に変わる工程をじっくりと見ていた。
今回の技術展のポスターや会場デザインは、国内外の数多くの見本市などへの出展経験を生かして燕三条地場産業振興センターが協力して制作し、若手の鍛冶職人も含めて35人すべてのメンバーの作業をする顔を掲載したポスターやパネル製作などの取り組みが技術展を盛り上げる話題のひとつとなっていた。
技術展は、午前9時から午後5時までで、最終日30日は午後4時まで。初日28日と29日は金物卸商社などを対象にしたバイヤーズデーで、30日は一般開放でだれでも入場できる。入場無料。