三条市下田地区の牛野尾、濁沢、早水、葎谷、遅場の牛野尾谷地区の5つの自治会でつくる「牛野尾谷五ケ会」(150戸・388人)が、昨年の新潟・福島豪雨災害や豪雪などの災害での尽力が復旧、復興に大きく貢献したとして新潟県から感謝状を受けた。
4日午前10時に牛野尾谷五ケ会会長で、早水自治会長の坂井利彦さん(60)が県三条地域振興局を訪れ、岡田伸夫局長から泉田裕彦県知事名の感謝状の伝達を受けた。
牛野尾谷地区は、昨年の7.29豪雨では土砂崩れが各所で発生し、住宅倒壊や土砂流入などのほか、道路も寸断されるなど大きな被害を受けたが、地域住民が連携して避難しけが人などはなく、交通確保のため自主的に県道の土砂撤去や地域清掃などを行い、復旧や復興にも尽力した。
感謝状には、「被災地及び被災された方々のために尽力され被災地の復旧・復興に大きく貢献されました 新潟県はその功績に対し深く感謝の意を表します」と知事名で書かれている。
感謝状を受け取った坂井さんは、「当たり前のことを、当たり前にしただけ」と言い、日ごろから、「自分たちの集落は、連帯して自分たちで守る」との思いで、自治会長を通じて連携をとっていると話した。
同地区は建設業に従事している人も多く、昨年の災害では、住民それぞれが自主的に勤務先から借りるなどして重機を集め、とくに土砂に埋まった県道だけはいち早く復旧させようと、若い人から高齢者まで一致団結して復旧作業を行った。その後も、避難生活を続ける人もいるなか、市道はじめ用水路や排水路の復旧などで、2、3週間から1カ月近く勤めを休んで地域の復旧作業に当たった人もいた。
地域の連携については、「5つの集落は昔から連帯感がある」。八十里越の登山道の草刈りや整備を年4、5回、5つの自治会から5人ほど約20人が参加して行っており、そのための会合も月に2、3回実施。また、毎年、秋に「ひこぜん祭り」を「よってげ邸」で開催し、子どもから年配の人まで集まる。日ごろから「あそこの家のばあちゃん、最近見ないと思えば、のぞきに行って」と地区全体が「家族のようなつきあい」と言う。
また、受け取った感謝状は、「もらえるとは思ってない行動」と話したが、まずは坂井さんの地元早水で「(感謝状を)見て、酒をくみかわし、順にほかの集落をまわる」と笑顔で話していた。
牛野尾谷五ケ会は6月6日、国土交通省の土砂災害防止功労者表彰も全国7件のうちの1件として受賞している。受賞功績概要は、「平成23年7月の新潟・福島豪雨時において、地区内の異変をいち早く察知し、地域住民を避難させるなど危険を顧みず身を挺して地域住民の生命及び身体の保護に尽力されました」。