鈴木力燕市長が市民と対話する3回シリーズのふれあいトークの1回目が4日夜、燕市中央公民館で行われ、市民約40人が参加して鈴木市長から直接、市の施策を聞き、質問したり意見したりした。
市長に就任してから毎年行っており、ことしは昨年と同じく3地区で順に計3回を計画し、この日はその1回目の燕地区。このあと10日に分水公民館、12日に吉田産業会館でいずれも午後7時から開く。
この日の燕地区の出席は、昨年の半分ほどにとどまった。南波瑞夫副市長、藤沢健一教育長、部長らも同席。鈴木市長はプレゼンテーションソフトを使って話したが、「(話が)例年、1時間以上で長過ぎると言われるので、今回はなんとか45分に収めたい」と始めたが、やはり50分くらいかかった。「とくに説明したいのは救急救命センター」と前置きした。
昨年は施策を均等に配慮し、段取りを「消化」するように淡々と話したのに比べ、今回はポイントをしぼってそこを重点的に説明。市民の目を見て話す時間が長く、身ぶりや手ぶりを大きく、ジョークも増えて、伝わることにウエイトを置いたプレゼンだった。
「わたしが市長に就任して劇的に充実したのが子ども助成金」で、子ども医療費の助成は9月からさらに拡充させていくと胸を張った。
救急救命センターについては県央医療圏の課題として、とくに救急告知病院における勤務医数の減少を上げ、ほかの医療機関では増加傾向なのに県央地域では直近10年間で約30人減少した。
NHKの朝の連ドラ「梅ちゃん先生」で梅ちゃん先生の彼氏が青森へ行かされたように、かつては医師が足りない病院へ送り込まれる養成システムだったが、数年前から規制緩和で自分で研修先を選べるようになり、都会の待遇のいい病院で研修するケースが増えたことをあげた。
200床、300床の病院では魅力がなくなり、魅力ある500床以上の基幹病院の整備が必要になっている。病床数は医療圏によって決まっており、県央医療圏は新たに80床しか増やせない。今、300床で認められているのは県立吉田病院と燕労災病院で、80床を足しても500床にならず、どこかの病院から持ってくる必要があり、再編成の問題をはらんでいる。最新の情報では、県は燕労災病院と三条総合病院に基幹病院化を求めた。一通り話して鈴木市長は「わかったでしょうかね?」、「これで大体、新聞に書いてあることの意味と背景がわかったと思います」。
燕市が手を上げている県立武道館の誘致については、燕市のアピールポイントを紹介し、ライバル都市として名乗りを上げているのは上越市、新潟市、加茂市で、それらがどういったアピールをしているかは聞かされていないが、「ただ、想像はできるんですよ」と、予想も披露してみせた。県は夏に有識者会議を開いて建設必要性の結論を出すとしており、県立武道館の建設が決まっているわけではないことも指摘した。
新しい公共交通システムでは現在、循環バスと巡回バスを運行しているが、巡回バスの利用がほとんどないため、これを乗り合いデマンド交通に代える構想を紹介。デマンド交通は三条市が先輩で、その取り組みは国交相表彰を受けている。それと比較しながら鈴木市長は、三条市のデマンド交通は停留所を決めているのに対し、燕市ではドア・トゥ・ドアが基本で、乗り合わせたり、そのために遠回りしたりすることがある以外はタクシーに近い形になると話した。
質問では4人が発言した。小学校の図書室に司書教諭を置くべき、学校で働く臨時職員の報酬など待遇改善を図ってほしい、市内の開業医には物忘れ外来がなく、認知症サポーターなどの支援を行ってほしいなどの意見があった。
大飯原発の再稼働に反対、分水地区は柏崎刈羽原子力発電所から30キロ圏内にあることを危惧する市民から再稼働に対する考えを問われた鈴木市長は、自身は再稼働にかかわる権限はないが、福島原発での事故原因の究明や対策を行われないなかでの再稼働は「決して許されることではない」と泉田裕彦知事と同じ考えを示し、燕市は経済的に原発に依存する関係にはなく、「経済的なことで安全性の判断をゆがめることはない」とした。
三条市をはじめ県内5市の震災がれきの広域受け入れを進めようとしているが、燕市が受け入れるときはどういった形で市民を説得、対応するのかとの質問には、議会答弁などと同じく、新しい焼却場を建設中のなので当面は受け入れる状況になく、受け入れるという表現はしていないとし、「統一的な安全、安心が整う環境ができない限り燕市は無理だろうと思っている」、5市と県で話しあいのテーブルができると聞いているので「一定ていど不安が解消できる環境が整うことを期待したい」とした。