「英語の勉強は楽しくないけど、英語で劇をやれば」と三条市国際交流員のカナダ出身ピーター・カーターさん(25)の発案で、12月の発表会に向けた子どもたちによる英語劇の練習が10日始まった。
三条市内の子どもたちの参加を募り、申し込みのあった三条地区の小学校1年生から高校3年生まで女の子ばかり23人が参加。10日はその初日の顔合わせで、午後5時から市役所第二庁舎で行った。三条市の環境マスコット「エコちゃんサンちゃん」が参加して会場の雰囲気を和ませたあと、ピーターさんが、英語と日本語を使って簡単なあいさつの英語をレッスンした。
続いて担当の地域経営課職員が「三匹のこぶた」の日本語劇、続いてせりふを英語に替えて英語劇を上演して見せた。子どもたちは童話などを基にストーリーやせりふを自分たちで考えて英語劇をつくって発表するが、「三匹のこぶた」はそのための練習台だ。
職員による「三匹のこぶた」は、この日、1時間半ほど練習しただけのにわか仕込み。台本を持ちながらの演技で、せりふに詰まったり、順番を間違えたりも当たり前。期せずしてコミカルになった演劇に子どもたちから笑い声も響き、手本になったかどうかはさておき、少なくとも子どもたちに自信を持たせる効果はあったようだ。
ピーターさんは、大きな身ぶり手ぶりをまじえて子どもたちとのコミュニケーションを盛り上げた。「How are you?」には教科書では「Fine」と答えることになっているが、実際にはほとんど使われず、「Pretty good」や「Not bad」を覚えればいいという実用的な英語もワンポイントレッスンした。
練習が終わってもなかなか帰ろうとしないでピーターさんと話す子どもや、迎えが来るまでさっそく「三匹のこぶた」の台本にマーカーで線を引いて勉強を始める子どももいて、子どもたちはやる気十分だった。
ピーターさんは演劇の経験はほとんどなく、明治大学国際日本学部で演劇の勉強をかじったことがあるていど。「先生が楽しければ子どもも楽しいはず」と、英語劇をつくり、演じるプロセスを通じて英語を身につけてもらおうと、英語劇を提案した。
「三条マルシェ」でフットワークの軽さを磨いてきた地域経営課。年度途中なので予算はゼロだが、ピーターさんの提案にのっかった。初めての事業なので、子どもたちからどれくらいの反応があるのか見当もつかなかったが、申し込みは定員の20人を超えた。
始まったばかりだが、ピーターさんは「恥ずかしがり屋だけど、ぼくの話に生き生きとこたえてくれました」と初日の雰囲気に大満足。「うまくいきそうな感じ」と自信と期待を膨らませていた。発表会は12月に開く計画で、それまで5カ月にわたり20回近い練習日を設定した長丁場になる。