先に行われた栄スマートインターの開通式で関係者からおもしろい話を聞いた。「こんなにぎやかな開通式を見たことがない」と。開通式を主催したのは三条市。開通式では、式典の前後に太鼓や園児の歌や踊りが披露されたが、関係者によるとほかの開通式のアトラクションはせいぜい太鼓くらいで、関係者中心の堅苦しい雰囲気という。
新潟市と長岡市のはざまで独特な文化が築かれているのではとの分析もあった。自分ではこの雰囲気にとくに特別な印象や違和感を感じなかった。すでに燕三条の独特な感覚がしみついているのかもしれない。
こうした文化(?)の醸成には、国定勇人市長が大きな影響を与えているの間違いない。なかでも対外的にはっきりした形で見えるの三条マルシェだ。国定市長のキャッチフレーズ「明るく楽しく元気よく」の象徴が三条マルシェだ。県内でもほかに例のないような取り組みだから、必然性やまちなかに対する肩入れを理由に反対の声も少なからず存在していることは知っている。
市外からも含め驚異的な来場者を集める。結果を見れば頭ごなしに否定できる人はいないだろう。そうした一連の流れで栄スマートインターの開通式のにぎやかさを見ると、まったく違和感はない。
ずっと燕三条地域で生活しながら、それほど行事が多い地域と思ったことはなかったのに、福島県から燕三条へ避難している人に「なんでこの地域はこんなに行事が多いんですか?」と驚かれた。いつの間にか週末のたびに欠かさずイベントが行われている地域になっているのに気付く。
もちろん毎月1回になった三条マルシェが大きいが、それにしても官民ともに燕三条はやたらとイベントが多く、全部は参加しきれないほどあり、週末にもなるとどれに参加しようかと考えることもしばしばという状況だ。燕三条の合併の大きな理由のひとつとして県立施設の誘致があった。その願いはなかなか実を結んでいないが、施設で得ることのできないサービスをイベントで代替しているということなのだろうか。
言い換えれれば新潟市や長岡市に比べて明かに劣っているハードのサービスをソフトで補っているとも言え、これはこれでハードでは得ることの難しい体験型学習や地域コミュニティーの活性化に奏功。けがの功名的な側面もあるのか。
そのことは三条マルシェを見てもわかる。常連客が増え、「また来たよ」、「これ買ってよ〜」とその空間での顔なじみが増え、新たなコミュニケーションが形成されている。ハードではできない価値を生み出している。こうした一連の取り組みの結果が冒頭の燕三条の独特の文化の醸成につながるのだろう。
ハードがないのはぐちをこぼしても仕方ない。「無いものねだりではなく、あるもの探し」。超人気の畑の朝カフェにしても特別なものを生み出しているというより、すでにあるものを上手に組み合わせて新しい価値の提供に成功した。
さらに言えばこうした取り組みの成功で「自信」を積み重ねている。自信に裏打ちされた可能性はさらに広がる好循環を生んでくれるはずだ。