東日本大震災で津波に見舞われた被災地、岩手県大船渡市の社会福祉法人「典人会」(柏貴美理事長)は、被災直後に燕市内の社会福祉法人が職員を派遣してくれた復興支援の礼にと、同法人の職員でつくる「気仙ボケ一座」が9月30日午後1時から燕市・吉田産業会館で入場無料の公演会に出演する。
「気仙ボケ一座」は大船渡市にある認知症専門のデイサービスの職員が中心となり、認知症への理解をテーマに1995年に旗揚げした劇団。理解されない認知症のお年寄りの問題を寸劇にして視覚的に訴え、身近に感じてもらおうと楽しくユーモラスな劇にして理解を広める活動を行い、全国で評価されている。
今回は団員7人で訪れ、午後2時からたっぷり1時間半の公演を楽しんでもらう。加えて地元主催者でレインボー体操実演、福祉用具の展示、介護・医療の相談、介護食の展示、あったかハートの調理品販売、いこいのコーナー、大船渡復興グッズの販売など盛りだくさんの内容で午後4時まで行う。
公演会は、燕市内にある「桜井の里福祉会」、「つばめ福祉会」、「吉田福祉会」の3つの社会福祉法人が主催する。大船渡市の典人会は、東日本大震災の被災直後、運営する施設で定員の何倍ものお年寄りを受け入れた。典人会のトップと桜井の里福祉会の事務局長が交流があったことから、桜井の里福祉会は昨年4月から6月まで数回にわたり延べ30人近い職員を典人会の施設へ派遣した。
その後も被災地のことを忘れていないという思いを伝えようと、昨年暮れから典人会にメッセージを添えた思いを届けていたところ、典人会からお返しがしたいと申し出があり、燕市で公演会を開くことなった。燕市内の3法人は2008年に緊急時・災害時の協力体制や職員の人材育成、福利厚生などで協力する調印を行っていることもあり、3法人で協力して一座を迎えることにし、3法人が運営する市内4つの地域包括支援センターも共催する。
桜井の里福祉会が運営する特別養護老人ホーム「分水の里」の横山稔園長は今回の公演に「涙が出るほどうれしい」。「こんなつもりで職員を派遣したわけではない」が、「ひとつの大きな絆ができたと思う」と喜ぶ。
被災直後は多くの復興支援があったが、時間がたつとともに思いが風化することを横山園長は心配し、「どれだけ被災地への思いを強くもっていけるか。大船渡市へメッセージを届けることを続けていきたい」と言う。
公演では500人から600人の来場を目指す。気仙ボケ一座の取り組みの姿勢は「職員の勉強にもなる」と横山園長。「認知症の方を住み慣れた地域で受け入れていくためにも大勢の方から公演をご覧いただきたい」と来場を呼びかけている。市内巡回無料送迎バスの運行も計画している。問い合わせは燕市分水地区地域包括支援センター(電話:0256-97-7113)をはじめ主催団体などへ。