三条市下田地区から弥彦村まで4泊5日で延べ100キロを歩く夏休み恒例の「寺子屋つばさ100km徒歩の旅」の最終日19日、参加した4年生以上の小学生47人は欠けることなく無事に100キロを歩き抜いて感動のゴールテープを切った。
5日間で100キロを歩くことも簡単なことではないが、ことしも連日の猛暑が子どもたちの体力と気力を消耗させた。最初の1、2日は遅れる子どももいたが、体が慣れたのに加え、とにかく足を前に進めるしかないと精神的にもタフになったのか、それ以降はかえって順調なペースになった。
最終日はゴールを前に最も過酷なコースで、弥彦山登山も行った。下りは山頂からロープウエーを使い、あとはそこから約5キロ。弥彦村の大鳥居をくぐって弥彦村農村環境改善センターにゴールした。
予定より1時間以上、遅れたこともあってか、ゴール地点で待っていられず、少しでも早く子どもたちの姿を見ようと、沿道に出て気をもむ親も目立った。三度笠をかぶった子どもたちは、大きなかけ声を上げて歩調を合わせ、最後のちからをふりしぼった。
ゴールテープの前に班ごとに整列し、「最後のいーっぽ!」などと声を合わせ、一緒にジャンプしてゴール。徒歩の旅の間、親との連絡もシャットアウトしており、4日ぶりに顔を合わせる親を前に、それまでの我慢や緊張がとけ、目標を達成した感動などさまざまな感情が一気に噴き上がり、涙をぼろぼろこぼす子どもが多かった。
親も同様で、横断幕を用意して出迎えた人もあり、子どもの顔を見た途端、涙が止まらないお母さんも。ゴールした子どもと抱き合い、「よく頑張った!」、「大変だったね!」と、心の底から我が子をほめてあげていた。
しばらくたつと、子どもたちは自然に班ごとに集まり、「あとで住所、教えてね」、「電話するね」と一生の思い出に残るであろう苦楽をともにした仲間たちと固い絆を結んでいた。Tシャツは互いが寄せ書きのように書いた言葉がびっしり並んでいた。
子どもたちと一緒になってサポートしたのが、32人のボランティアの学生スタッフ。休憩中も子どもたちを気遣い、心が折れそうになる子どもたちを励まし、心身の疲労は子どもたち以上。みんなが声を枯らしており、こちらも涙、涙のゴールで、一息つくと嘉瀬一洋団長らを胴上げした。
リーダーの 専門学校新潟国際自動車大学校2年、森田貴大さん(19)=新潟市北区=は「いい人生経験になるだろうと思って」と学校に届いた案内を見てひとりで参加。「こんな熱い取り組みとは知らなかった」と率直に語る。
日に日に子どもたちがくつをきちんと並べたり、片付けをしたり、あいさつができるようになり、「素直に子どもたちが変わっていく姿に感動しました」と5日間での子どもたちの大きな成長を目の当たりにした。
自身も学生スタッフとかけがえのない関係を築いた。「研修を重ねて魂と魂のぶつかりあいがあり、親友になれました」、「一生の友だちができたと思っています」と言い、「できればもう一回、参加してみたい」と話していた。