レゲエを中心とした三条発の音楽フェスティバル「三条楽音祭(らくおんさい)」が2日、ことしも自然に囲まれた三条市・中浦ヒメサユリ森林公園で開かれた。楽音祭では初めての外タレ、ジャマイカンミュージックの大御所ロイ・エリスさんの出演もあってか昨年を上回る人出で、真夏と変わらない猛暑のなかでホットな空間を満喫した。
ことしで4年目、中浦ヒメサユリ森林公園に会場を移して3年目で、毎年数千人の来場者を集める三条の夏に欠かせない音楽フェスティバルとして定着している。ふだんは緑に囲まれて自然の音しか聞こえない静かな公園に、ライブステージからレゲエの乾いたサウンドが響いた。
飲食20、物販29の49店も出店し、過去最多だった昨年の2倍にのぼった。県外からの出店が多く、音楽をBGMにラスタファカラーの雑貨を眺めたり、エスニックな料理を味わったり。ワークショップに参加し、シートを広げて昼寝も良し。子どもたちは小川で水の中の生き物を探し、思い思いにイベントを楽しんだ。
今回の目玉はロイ・エリスの出演。ジャマイカのキングストンに生まれで、レゲエの神様、伝説のボブ・マーリーやジミー・クリフと同じ学校のクラスメートだったジャマイカンミュージックの大御所。いったんは第一線を退いたが2008年にカムバックし、今回は日本ツアーで来日中のタイミングにあわせて三条楽音祭への出演が実現した。
ロイ・エリスは石川道久セッションの演奏で歌った。エナメル調に光るゴールドのスーツにやはりゴールドのソフト帽、黒いシャツにゴールドが入ったネクタイ、そして夜でもサングラスに伸ばした髪を後ろで1本に編んでいた。
この日の三条の最高気温は、全国で3番目に高い34.6度。演奏が始まった午後7時でも29.3度の暑さだった。ボブ・マーリーと同世代なら60歳代後半になるが、1時間のライブの予定を約20分オーバーし、ほとんどノンストップで演奏。しかもスーツを着たままで、時にはジャンプして足を前後に開く「ゲッダウン」を何度も決めた。
声もパワフルで「ボブ・マーリーのクラスメート」というふれ込みは、だてではない。言葉は通じなくても音楽のコミュニケーションには何の不自由もない。コールアンドレスポンスで観客と一体化した。最後は女性、続いて男性をステージに上げて踊ってもらいながら歌い、演奏とリフレインが続くなか、ロイ・エリスが袖に下がるというクールなパフォーマンスで締めくくった。
エンディングのジャンベとダンスのあと、上州ふんどしクラブの10人近くが道祖神を担いで登場。栃尾のほだれ祭を知る人には、何とも素朴でかわいい道祖神だったが、ロイ・エリスはその上に乗ってみたいとリクエスト。最初で最後となる道祖神を体験していた。