6次産業化を見据えたビジネスチャンスを創出しようと燕市は4日、つばめ農商工連携カンファレンスを開き、約30人が参加して農商工の連携、六次産業化法に基づく総合化事業計画の認定について学んだ。
6次産業は、1次産業の農業や水産業の業者が、食品加工の2次産業、流通や販売の3次産業にも一貫して取り組むこと。それぞれの1、2、3を足しても掛けても6になることから6次産業と呼ぶ。2次産業の3次産業の事業者が得る付加価値を農業者自身が得る。
具体的には、農業のブランド化や消費者への直接販売などがあり、6次産業に取り組みやすい環境づくりのため国の予算で支援を受けられる「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(6次産業化法)が2011年3月に施行されている。
燕市でも農業の6次産業化を促進するために昨年、つばめ6次産業化推進協議会(三井田可人会長・会員16人)を立ち上げ、協議を重ねてきた。そうした取り組みの一環で、農業、商工業の持ち味やストロングポイントの融合を図り、燕市産の農産物を使った新しい商品、サービスを生み出してもらおうと初めてつばめ農商工連携カンファレンスを開いた。
食品製造業、加工業者、小売業者、農業者、農業者団体、商工団体など30人が参加。独立行政法人中小企業基盤整備機構地域活性化チーフアドバイザー(地域資源・農商工担当)の西場友彦さんを講師に「“今こそ『農』と『商工』がスクラムを組むとき”〜農商工連携の意義、その可能性〜」をテーマに講演したあと、燕市の農産物の紹介とPR、最後に西場さんが希望者の農商工連携ビジネスマッチング相談を行った。
西場さんは、国の「総合化事業計画」認定を中心に話した。総合化事業計画とは、農林漁業者などが農林水産物などの生産と加工、あるいは販売を一体的に行う事業活動に関する事業計画。大臣認定を受けると、6次産業化推進整備事業としてハード事業で1億円を上限に補助率1/2以内、ソフト事業では補助率が通常1/2以内のところ認定者は2/3以内の補助を受けられ、さらに無利子融資資金の償還期や据え置き期間の延長、短期運転資金の貸し付けなどの補助を受けられ、サポートセンター、プランナーの支援を無料で受けられるなど、さまざまなメリットがある。
西場さんは6次産業化の具体例や認定に必要なものと認定の流れ、23年度の北陸農政局管内35件の認定の紹介、農商工連携事業の意義、認定に挑戦する意義などについて話した。ただ、認定されることが目的化しないよう警鐘を鳴らし、あくまでも事業を進めるための認定であることを強調。フルーツトマトがジュースになってネットで500ml入り1本当たり1万円で直販されている例を紹介すると、会場からは「おーっ!」と驚きの声が上がった。
出席者からは、どれくらいの確率で認定を受けられるのかという質問があり、西場さんは受けるまえにはねる場合もあるが、実際に受けて指導したものについてはすべて認定を受けていると答えた。
燕市の農産物の紹介とPRでは、JA越後中央が「飛燕舞」と「つば九郎米」の販売状況、しぶき農園=溝古新=の渋木美佐子さんが減農薬で有機肥料たっぷりのジネンジョ、内田勇吾さん=粟生津=が有機微生物農法によるこだわり野菜、しいたけ新六=吉田本町=の近藤孝志さんが菌床シイタケ栽培をそれぞれ紹介した。