燕市立図書館では、7日から23日まで村上康成絵本原画展を開いており、絵本作家村上康成さん作の『石のきもち』をはじめとした絵本の原画50点余りを展示している。初日7日は地元保育園児がテープカットを行ってオープニング。翌8日は午前10時半から燕市児童研修館「こどもの森」で開かれる中川ひろたか&村上康成ジョイントライブに出演、ウクレレを演奏するために村上さんが来燕する。
オープニングに訪れたのは、燕保育園と南保育園の園児54人。代表の園児男女2人が会場の入り口前に輪にした折り紙をつなげたテープにはさみを入れ、テープカットのセレモニーで開場。園児は保育士と一緒に順路にしたがってパネルに下がった原画を見学し、保育士から原画の下に表示した文章を読んでもらった。
保育士から『さつまのおいも』、図書館職員から『999ひきのきょうだいのおひっこし』の絵本を読んでもらい、声を合わせて「ありがとうございました!」と図書館に感謝。たっぷり絵本の世界を楽しんでいた。
展示しているのは、昨年の出版で第3回ようちえん絵本大賞を受賞した『石のきもち』の原画22点すべてをメーンに8日にジョイントライブで共演するシンガーソング絵本ライター中川ひろたかさん作で村上さんが絵を描いたピーマン村シリーズの『さつまのおいも』や『みんなともだち』、『おばけなんてこわくない』、『かえってきたカエル』、そして村上さんだけでつくった『星空キャンプ』、『ピンクのいる山』の原画、7作品の合わせて55点を展示している。
別々に見ているとあまりわからないが、原画と印刷された絵本を並べて見るとその違いは一目瞭然。色味はもちろん、印刷では表現しきれなかったタッチを味わうことができ、なかには作品の一部を切りとって移動させたことも原画から見てとれる。
『石のきもち』は3段階の鉛筆で描かれた下絵も展示。構図が変化しているばかりか、絵本にはないページが下絵には存在することもわかり、完成に至るまでの村上さんの思考のプロセスも垣間見ることができる。
子どもに見てもらうのが主眼なので、作品は子どもの目線の高さに合わせて低く展示。絵本にあるキャラクターや背景を切り取って立て、3D化したものも手作りして、子どもが楽しく見学できるように工夫している。
また、絵本も手掛ける木版画家、村田エミコさんの版画3点を展示している。今回の作品展に向けて図書館職員が村上さんの家を訪れたとき、村上さんの案内で近くで開かれていた村田さんの作品展を見学し、作品を購入した。職員にも見てもらおうと図書館に持ってきたのを燕市の詩人、鈴木初江さんが見つけた。
鈴木さんが詩集『ちきゅうのリズム』を出版したときに表紙のイラストなどを制作したのが村田さん。そんな縁で鈴木さんが所有する村田さんの作品と合わせて展示している。
絵本原画展は入場無料。8日のジョイントライブは読み語りボランティア「おはなしコロボックル」の主催で参加費は4歳以上ひとり500円。村上さんのウクレレの生演奏を聴いて原画も鑑賞できる絶好のチャンスだ。問い合わせは、絵本原画展は燕市立図書館(電話:0256-62-2726)、ジョイントライブは「おはなしコロボックル」(電話:090-3144-9513)へ。