シンガーソング絵本ライター中川ひろたかさんの自身初のギャラリー展が9日から17日まで新潟市西蒲区巻甲、にいだやギャラリー野衣(のい)で開かれており、イメージをシンプルなデザインに落とし込んだ小品約70点がぎっしりと並んでいる。
はがきサイズの作品40点をはじめ、文字を添えた作品や粘土で作ったオブジェ、タイルに描いた作品もある。記号化したような簡略化した抽象的なデザインで、色遣いも単色や2色、3色ていどで描いたものがほとんど。ポップアート的な印象もある。
タイトルは「躍動」、「光の音」、「四季」、「白昼夢」、「動機」、「挑戦」などそのままでは形にならないようなものが多いが、作品を見ていると、わかったような、わからないような不思議な気分になる。そうして作品とのコミュニケーションしても楽しい。
文字と組み合わせた作品は、オクラを描いて「オクラホマ」、足袋を描いて「またたび」、クリを描いて「けたぐり」とだじゃれがいっぱい。D1(だじゃれグランプリ)を考案した中川さんの真骨頂であり、中川さんの絵本の世界観がそのまま作品に仕上がっている。
中川さんは絵本ライターだが、基本的に絵は描かない。ギャラリー展はもちろん本邦初公開。仕掛けたのは会場のギャラリーを営む横山作栄さん(62)だ。化粧品と和洋裁用品販売「にいだや」を経営し、3年前に店内に約30平方メートルの広さのギャラリーを開設。主に布に関する作品展を開いている。
一方で横山さんは、オリジナル曲を歌う地元では知られたアマチュアフォークシンガー。「たっつぁん」のニックネームで若いころから今も活動を続ける。中川さんとは裕に20年を越す古い付き合いだ。中川さんが「トラや帽子店」というユニットで演奏活動をする以前から、県内の保育園などに訪れる中川さんと親しくなった。いつしか県内での中川さんのコンサートを横山さんがプロデュースすることもあるほどの仲になった。
最近になって、中川さんがブログで絵を描き始めていることを書いているのを見つけた横山さん。「いつまた気が変わるかしれないから」とすぐに中川さんにギャラリー展の開催を依頼。この9日に燕市児童研修館「こどもの森」で開かれた中川ひろたか&村上康成ジョイントライブに出演が決まったため、そのタイミングにあわせてギャラリー展を開くことになった。
横山さんは中川さんについて「あの人は何をやらかすかわからない。そういう驚きがあるんだね。いろんなことが頭にあるんだろうね」。中川さんの突拍子もない発想や感性の鋭さに脱帽する。展示した作品には「主張する絵じゃないから。インテリアのなかにぽんと置いておくと、気持ちがいい。疲れないからね」と魅力を話している。
最終日17日の午後2時ころに中川さんがギャラリーを訪れるので、中川さんのファンはチャンスだ。ギャラリーは毎日午前10時から午後6時まで開いている。入場無料。