三条市の八幡宮周辺を会場に17日、「ものづくりのまち三条 こども祭り2012」が開かれた。全国4位の37.3度まで気温が上がる酷暑に見舞われたが、三条祭りの大名行列を子どもたちで再現した「こども大名行列」をはじめ、「良寛さまとあ・そ・ぼ!祭」、「こどもフリーマーケット」と、子どもたちは主役となって祭りを盛り上げた。
三条市ESD協議会(川瀬和敏会長)が主催。前身の「良寛さまと、あ・そ・ぼ!祭」から少しずつ形を変えながら毎年開かれている子どもたちのためのイベントだ。八幡宮境内や裏手の通行止めにした弥彦線高架下道路には、子どもたち一日たっぷり楽しめる店やコーナーが並んだ。
注目は三条歴史文化担い手育成会(相場浩代表)が担当したこども大名行列だ。三条まつりの大名行列は、八幡宮の春祭りで行われる名物行事。その子ども版をと、三条夏まつりの前身で昭和39年(1964)に新潟地震が発生するまで行われた三条金物まつりで2、3年続けて子ども大名行列が行われた歴史がある。
その復活をと昨年も計画したが、せっかく準備を進めながら当日は雨で中止に。それから1年、待ちに待った子ども大名行列の復活だ。行列に参加した子どもは約60人。道祖神のてんぐ2人、やっこ14人、神主役1人、はやし方やみこし担ぎなどに分かれて担当し、手伝いや運営のおとなも含めると裕に百人を超す人たちで行列を組んだ。
金山みこしややっこの持ち物などは、およそ半世紀前の子ども大名行列のときにそろえられたもの。ことしは加えてやっこの衣装やてんぐの高下駄を新調した。午前10時に出発し、参道を出てから神社裏へ回ると、弥彦線高架下道路は車両通行止めに。道路わきには子どもたちの出店が並ぶ最高の舞台を用意し、本物の大名行列をほうふつとさせた。
本番前に練習日を設けた。てんぐは両脇を支えられて、高く上げたを高下駄を地面にたたきつけるようにして歩く姿は、本物の大名行列に見劣りしなかった。さすがに高下駄をはいた状態でおとなより背が少し高くなるくらいだったが、足を上げる高さは本物のそれを上回り、軽快な足取りだった。
やっこは、腰を落として両手を左右に広げ、足を後ろに跳ね上げて歩を進める歩き方が難しい。子どもたちの歩き方は本物にほど遠かった。本物のやっこは持ち物を2人1組になって互いに投げ渡すが、子どもたちは投げずに手渡しした。
しかし、すぐそばで本物のやっこが子どもたちに付き添った。「せーの!」と拍子をとってあげたり、休憩中に一緒にかけ声を練習したりとサポート。三条鍛冶道場にゴールしたあと、八幡宮に戻って舞い込みをした。
本物は子どもを肩車した親が拝殿の回りを走ったり、拝殿にみこしが駆け上がったりと勇壮な場面が見ものだが、こども大名行列では拝殿の回りを1周するだけにした。てんぐややっこが走り、みこしがそれに続いた。最後に会長の相場浩さん(44)=三条市西四日町1=の音頭で三本締めで締めくくった。
見物する市民は「大したもんだ」と予想以上の本格的な大名行列に驚き、「かわいいね」を連発していた。相場さんは、「運営側は疲れは疲れますけど、やってる子どもとか、そこにかかわった祭りの関係のおとなたちが、すごく本気になって伝えよう、次に残そうと思ってやってくれたのが、いい感じだな、まだまだいけるなと思いました」と充実感と手応えを感じていた。