刃物産業など金属加工産業都市として長い歴史をもつ三条市、越前市、関市、三木市の4市の市長が21日、同じ「ものづくり」の町としてそれぞれが連携し、さらなる発展を目指すため「金属産業都市における地場産業の活性化に関する共同宣言」を行った。
午後4時半から三条市役所で発表会を行った。国定勇人三条市長、翌22日に燕三条地場産業振興センターで開く「日本鍛冶学会」に出席のため来条した奈良俊幸越前市長(福井県・旧武生)と薮本吉秀三木市長(兵庫県)、三条市と越前市と都市連携協定を結んでいる関市の尾関健治市長(岐阜県)の4市長が出席。
4市は、それぞれ刃物製造や熱間鍛業などの金属加工産業都市として長い歴史を持っている。国内ではライバル関係になることもあり、それぞれが切磋琢磨してきたが、現在の課題となっている産業構造の変化や海外製品との競合などに柔軟に対応し、さらに発展していくために、今後の地場産業の振興について認識を共有することがそれぞれ重要として、宣言を行った。
共同宣言は2つの内容で、「地場産業活性化に向けて、まずは各市において質の高い製品づくりへの支援を継続的に行うとともに、販路拡大に対しても積極的に取り組むなど、産地としての魅力づくりを全力で行うこと」、もうひとつは「今後のさらなる地場産業振興には、各産地における地場産業が活性化することに加え、各産地における現状や課題の共通認識・分析が重要であることから、都市間連携による情報・意見交換を行っていくこと」。
4人の市長は、それぞれの産地の現状や課題、連携による期待などを述べた。薮本三木市長は、「諸外国に対抗していくには1つの産地だけで生き残ることはできない」とし、産地間のネットワークが必要と話した。
国定三条市長は、世界的に名だたる刃物の町、ドイツのゾーリンゲンが機械化と後継者育成が進まなかったことから、「近い将来、足元に技術力を持った職人さんが皆無になる」と述べ、「ゾーリンゲンの二の轍を踏んではならない」と心配し、それぞれが産地間の連携の重要性を話した。