秋の夜、「北越の小京都」と呼ばれる加茂市の風情をあかりで彩って感じてもらおうと22、23の2日間、加茂山の青海神社周辺を会場にことしも「小京都を楽しむ会 AKARIBA(あかりば)2012」が開かれている。初日22日は昨年に続いて「あかりの結婚式」が行われ、人力車に乗った花嫁花婿とお供の行列が大正時代の情緒が漂う旧酒蔵の町屋を出発して市内をめぐり創建726年の青海神社で古式ゆかしく神前式、誓いのキャンドル点火が行われた。
ことしの花嫁花婿は、すでに6月に結婚届を出した三条市本町6、渡辺真一さん(40)、真理子さん(26)。真一さんは家業を継ぐ6代目の刃物職人で、その技を生かしてジュエリーブランドも立ち上げており、この日、真理子さんに贈った結婚指輪は構想から半年かけて手作りした。
真理子さんは秋田県出身で4月から三条市役所に勤務。昨年1月に共通の友人を通じて鍋パーティーで知り合い、同5月から付き合い、ことし6月に結婚届けを出した。新婚旅行は来年1月の予定だ。
絶好の好天に恵まれ、白むくを着た真理子さんは人力車に乗って清雲亭山重を出発。昨年のあかりの結婚式で挙式した新潟市秋葉区、酒井裕行さん(27)、久美子さん(31)夫婦は、「ことしのAKARIBAは3人で見に行きたいね」と話していたが、その言葉通りに生まれて間もない赤ちゃんを抱き、山重で花嫁を見送った。これも青海神社がまつる多多須玉依姫命(タダチタマヨリヒメノミコト)のご利益か。
行列は稚児を先頭に100人近く。車両通行止めにして大通りを進み、数百人が宮大門の交差点でイベント「出会い」。花婿が迎え、集まった数百人を前にふたりの略歴やなれそめを紹介した。ふたりのあいさつのあと、今度はふたりで人力車に乗り、JR加茂駅まで行ってロータリーをぐるりと回って戻り、青海神社の赤鳥居をくぐり、石畳会場でイベント「祝い」。加茂葵幼稚園の園児が、ふたりの名前を歌詞に読み込んだ「おめでとうの歌」の歌を合唱、稚児が「祝いの舞」を披露した。
青海神社の社務所で休憩したら、神殿で結婚の儀。鴬張りの廊下で参進の儀、修祓、祝詞に続いて三三九度、誓詞奏上、玉串をささげ、親族固めの盃と古式にのっとって進んだ。
野外ステージへのぼり、会場にハートを描くように並べられたキャンドルの中央に立ち、ふたりでトーチを持って誓いのキャンドルに点火。よさこいソーランの踊りのあと、石段を下って池之端へ。和傘を使ったあかりの前で記念撮影にこたえると、この日いちばんの数のフラッシュがたかれた。
最後に宮大門で終了のあいさつ。真理子さんは父に「自分勝手で自由気ままに生きてきたわたしを陰で支えて応援してくれました。本当にありがとう。池田家に生まれてわたしは本当に幸せでした」と感謝した。子どものころ、「お父さんみたいになりたくないと言ったこと」があるが、子どもをもったら、「お父さん、お母さんがわたしにしてくれたように、ほめること、そして愛をもってしかることを実践していきたいです」と声を詰まらせながら話した。
真一さんは「こんなに大勢の人たちに見守られて結婚できることをふたりで幸せに思っています」、「きょうのこの一日はぼくらにとって間違いなく一生、記憶に残るいい思い出になります」と関係者や親族、友だち、会場を訪れた人たちに感謝した。最後は協賛企業による花火を打ち上げて締めくくった。
AKARIBAは加茂青年会議所(高取成基理事長)が主催。毎年開かれており、回を重ねるごとに内容が充実、規模を拡大している。昨年、初めて行った「あかりの結婚式」で一気にスケールアップし、観光資源としても魅力的なイベントに成長している。
AKARIBAは23日も午後2時から9時まで開かれる。22日と同様に青海神社周辺をあかりで彩り、6時まで公民館製作室であかりの製作体験を行うほか、4時から鳥居周辺で小京都戦士「カモニンジャ椿ショー」、6時20分から8時まで青海神社神楽殿で市民芸能の和楽演奏が行われる。